群馬テレビの武井社長を解任 本社で取締役会

取締役会が開催された群馬テレビ本社。武井社長解任を決めた=前橋市
取締役会が開催された群馬テレビ本社。武井社長解任を決めた=前橋市

業務実態を無視した人事異動などが不当労働行為にあたるとして、組合から群馬県労働委員会に救済を申し立てられていた群馬テレビ(前橋市)の武井和夫社長が22日、解任された。同日、前橋市の本社で開かれた取締役会で解職決議案が出され、賛成多数で承認された。後任には専務取締役兼報道局長の中川伸一郎氏が就任した。中川氏は群馬テレビ初の生え抜き社長となる。

武井社長をめぐっては、60人ほどの社員の人事異動を3年間に計25回、延べ約120人余りについて行ったなどとして、同社の労働組合(前島将男委員長)が10月、県労働委員会に救済を申し立てた。このほか、経費削減を理由に番組制作の請負企業やフリーランスとの契約を一方的に停止、社員の残業時間が大幅に増え、「スポンサーではない自治体や企業に取材に行く必要はない」などと指示し報道機関としての責任を放棄したとしている。

群馬テレビの筆頭株主でもある県は組合と武井社長双方から事情を聴いたが、山本一太知事は「組合員の説明を聞く限り完全な異常事態。聞いたことがない。よほどのことだという認識は持っている」と語り、「県域放送局として健全な経営を確認するとの観点で対応する」としていた。

社長に就任した中川氏は問題発覚後、視聴者やスポンサー、関係市町村の「皆様に不信感を与え、多大なご心配と混乱、ご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします」とし、この状況を改善し「県域放送局としての姿を回復させるため」武井氏の解任という結果に至ったとのコメントを発表。「報道機関としての信頼を回復させ、もう一度正常な形に築き上げていきたい」としている。

前島委員長は「今後は新体制となる会社側と協議していくことになる。救済申立ての扱いも、その中で検討していく」と語った。

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