「異常事態」群馬テレビ問題で山本知事が事情聴取

会見する山本一太知事=2日、群馬県庁
会見する山本一太知事=2日、群馬県庁

群馬テレビ(前橋市)の労働組合(前島将男委員長)が同社の武井和夫社長の人事発令や業務指示が極めて不当だとして群馬県労働委員会に救済を申し立てた問題で、山本一太知事は2日、組合と武井社長双方から事情を聴いたことを明らかにした。そのうえで「県域放送局として健全な経営を確認するとの観点で対応する」としつつ、「組合員の説明を聞く限り完全な異常事態だ。こんなことは聞いたことがない。よほどのことだという認識は持っている」と語った。

申立書などによると、群馬テレビでは武井社長の独断で業務実態を無視した人事異動が毎月のように行われ現場に混乱を招いたほか、経費削減を理由に番組制作の請負企業やフリーランスとの契約を一方的に停止、同社長が「スポンサーではない自治体や企業に取材に行く必要はない」などと指示し、報道機関としての責任を放棄したとしている。

県によると、組合が説明で県庁を訪れたのは10月23日。組合は社長の方針で現場は本当に混乱しており、「畑違いの部署の人事異動が頻繁に行われてテレビ局としてのノウハウは失われ、このままでは会社がなくなってしまうのではないかという危機感を持っている」と説明したという。

武井社長は1日夕に県庁を訪れ、「組合とは話し合いを進めている。きちんと説明していく」「取締役会や株主総会で今回の状況について、しっかりと説明していく」の2点を説明。5分ほどで帰ったという。

山本知事は群馬テレビについて、県民に向けた県政情報や緊急災害情報などを発信する県域放送局としたうえで、「健全な経営と役割を果たしていただきたいが、はっきり言って、この点は疑問だ」と語った。

また、武井社長が「取材に行く必要はない」としたスポンサーではない自治体の首長らから「懸念する声が出ている」と影響が広がっている点を指摘。「県は群馬テレビの筆頭株主(15・06%)でもある。今、組合員たちが株主に説明して回っているとのことで、そうしたことも踏まえて対応を考えていく」と、株主総会や取締役会の場で解決を図る考えを示唆した。

群馬テレビ労組の救済申し立て「事実なら問題」と山本知事

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