立民、候補者調整で方針転換 「立憲共産党」定着のリスク

次期衆院選を巡る立憲民主党と共産党との候補者調整が転換期を迎えている。野党各党との調整を否定してきた立民の泉健太代表が一転、「ゴーサイン」を出したためだ。ただ、共産は泉氏のこれまでの言動との整合性にこだわっているほか、政策合意を含めた「本気の共闘」を求めている。のめば「立憲共産党」の評価が定着しかねず、立民執行部は難しい対応を迫られそうだ。

「これまでの泉代表の言動との整合性をどう説明するのかについて、立民にきっちりとした説明をしていただきたい」

共産の志位和夫委員長は6日の記者会見で、泉氏が立民の支持団体である連合に、共産との選挙協力や候補者調整に否定的な考えを伝えていることを引き合いに出し、明確な説明を求めた。

「本気で皆が力を合わせて戦わなければとても勝てない。やるのであれば中途半端なものではなく、本気の共闘が必要だ」として、前回衆院選のように政策合意を結ぶべきだとも訴えた。

泉氏は5日、訪問先の札幌市で記者団に候補者調整について「衆院解散・総選挙が遠のき、考え直す時期ということだ」と方針転換を表明。岡田克也幹事長も4日の記者会見で、泉氏から野党間の候補者調整を進めるよう指示を受けたと明らかにした。

執行部が態度を変えた背景に、共産票の上積みを期待する選挙基盤の弱い議員の声に抗しきれなかった側面があるのは否めない。日本維新の会の藤田文武幹事長は5日の会見で「党内のさまざまな声を聞いて反応をしているのだろう。突き上げを受けているのではないか」と分析した。

藤田氏は「(維新が調整に応じないことは)岡田氏も分かっていると思うので、(真意は)共産との調整ではないか。その方が僕らも戦いやすいし、国民も分かりやすいので良いことだ」と皮肉交じりに歓迎した。

もっとも、立民が共産との共闘に踏み切るのはリスクが伴う。

もともと両党間には安全保障など基本政策で距離がある。共産は6月の第8回中央委員会総会(8中総)で「綱領的値打ちを押し出す」と主張し、米国や財界への厳しい姿勢を改めて打ち出した。過度な接近は、有権者から再び「立憲共産党」と警戒され、党の理念が問われることになる。(内藤慎二)

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