アクアライン 「コロナ後」見据えて変動料金制の試験導入 千葉県など、来月22日から

東京湾アクアライン(共同通信社ヘリから)
東京湾アクアライン(共同通信社ヘリから)

千葉県木更津市と川崎市を結ぶ15・1キロの有料道路「東京湾アクアライン」の渋滞緩和を目指し、千葉県や国土交通省などは7月22日から、時間帯に応じて通行料金を変動させる制度の試験導入に踏み切る。新型コロナウイルスの影響が和らぎ、社会経済活動が正常化してきた中、特に渋滞が多く起きている上り線(川崎方向)と休日(土日・祝日)に対象を絞り、効果や影響を検証した上で、本格導入に踏み切るかどうかを検討する。

千葉県や国交省、東日本高速道路(NEXCO東日本)などは20日、アクアラインの交通円滑化のための対策を話し合う検討会の初会合を県庁で開催。特定の時間帯の料金を割り増したり割り引いたりして渋滞の緩和につなげる「変動料金制」の試験導入を行う方針を確認した。

国と千葉県の助成で、アクアラインの通行料金は自動料金収受システム(ETC)を搭載した全車種を対象に平成21年から割り引きが行われている。今回の変動料金制の試験導入は7月22日から来年3月31日までを予定し、特に渋滞が多く起きている土日・祝日の上り線(川崎方向)に限定して、ETCを搭載した全車種で午後1時~午後8時は現行料金の1・5倍に割り増す一方、午後8時~午前0時は現行料金の0・75倍に割り引く。これ以外の時間帯は現行料金のままとする。

ETC搭載の普通車の場合は現在800円だが、土日・祝日の上り線は、午後1時~午後8時が400円上乗せした1200円に、午後8時~午前0時は200円割り引いた600円になる。これ以外の時間帯は800円のままとなる。

変動料金制の試験導入に乗り出す背景には、アクアラインの通行台数の増加やそれに伴う渋滞の悪化がある。令和4年度の通行台数は1日当たり5万1760台、渋滞回数は1年当たり2073回と、ともに料金の値下げが始まった平成21年以降で最多となった。

渋滞は休日に顕著となっているとされ、今後、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進んでいけば、状況は一段と厳しくなりかねない。

千葉県の熊谷俊人知事は今月15日の定例記者会見で、アクアラインについて「千葉県の『半島性』を克服する大事な道路」と指摘。アクアラインの渋滞によって木更津市や周辺の道路環境の悪化につながっているとして、来県者を増やしつつ滞在時間を長くする方策について「国と意見交換や検討を進めている」と述べていた。

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