日本の大作、世界が待ってる TBSグループ会社がネトフリと戦略的提携

「THE SEVEN」の(左から)赤羽智史VFXプロデューサー、菅井龍夫代表取締役、森井輝プロデューサー=東京都港区
「THE SEVEN」の(左から)赤羽智史VFXプロデューサー、菅井龍夫代表取締役、森井輝プロデューサー=東京都港区

TBSグループのコンテンツ企画・製作会社「THE SEVEN」(ザ・セブン、東京都港区)は今月、米動画配信大手のネットフリックスとの戦略的提携を発表した。300億円規模の制作費を準備し、国際市場で通用する高品質な映像作品を今後5年にわたり共同開発。ネットフリックスを通じ世界配信する。ザ・セブンの菅井龍夫代表取締役は「海外の方々に日本の優秀な作品を見てもらいたい」と意気込みを語る。

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同社は今年、TBSホールディングスが出資して設立。ドラマや実写映画の企画・開発など、世界市場を見据えたビジネスを展開する。世界的にヒットした日本発のドラマ「今際の国のアリス」などを手掛けた森井輝プロデューサーや、VFX(視覚効果)界を牽引(けんいん)する赤羽智史VFXプロデューサーも所属する。

現在の動画配信ではドラマ「イカゲーム」や「梨泰院クラス」など、韓国発のコンテンツが国際的な存在感を発揮している。ザ・セブンの狙いは韓国作品にも負けない「大きなスケール感の作品」を作ることにある。森井さんは「僕らはもっと自信を持っていい」と語る。

「日本のCGや撮影などの技術は高く、世界でも通用している。僕らが『通用しない』と勝手に思い込んでいた部分も正直に言ってあると思う。全世界配信のネットフリックスと組むことで、日本のクリエーターやキャストの道が世界に開けることも期待している」(森井さん)

赤坂に新オフィスを構え、作品の系統に応じて柔軟な対応が可能な「VFXルーム」も設置。広大な敷地を持つTBSグループの「緑山スタジオ・シティ」(横浜市)が使えるのも強みだ。従来のテレビ用のスタジオに加え、来年には最新の撮影機材を備えた配信コンテンツ向けのスタジオ(約300坪)が完成予定だという。

「緑山は『SASUKE』(スポーツバラエティー)を撮っているくらいで、外で撮影できる場所も非常に多い。世界に通用するスタジオを兼ね備えていることを強調したい」(菅井代表取締役)

ネットフリックス側も日本発の作品が増えることを期待する。坂本和隆・コンテンツ部門バイス・プレジデントは「昨今、日本発の作品への世界的注目度があがっていることを改めて実感いたします」としたうえで、「日本や世界の視聴者が観たことのないような世界観の作品にザ・セブンの皆さまと一緒に取り組めますことを楽しみにしております」とコメントした。

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(本間英士)

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