自民、2つの議員グループが安倍氏を「永久顧問」に 路線継承

自民党の保守団結の会であいさつする古屋圭司氏=29日午後、東京・永田町の党本部(矢島康弘撮影)
自民党の保守団結の会であいさつする古屋圭司氏=29日午後、東京・永田町の党本部(矢島康弘撮影)

安倍晋三元首相が生前に携わった自民党の2つの議員グループが29日、党本部でそれぞれ会合を開き、ともに安倍氏を「永久顧問」とすることを決めた。安倍氏は死去の直前まで党内最大派閥の会長として政策面でも強い影響力を保っていただけに、両グループは遺志を引き継ぎ、安倍氏が生前掲げた政策の実現を目指す方針を再確認した。

神社のしめ縄などに使われる産業用大麻の振興を目指す「産業や伝統文化等への麻の活用に関する勉強会」は29日、最高顧問だった安倍氏の死去後、初となる会合を開いた。

黙祷(もくとう)の後、安倍氏の求めで会長を引き受けた森山裕選対委員長があいさつし、「この勉強会は安倍氏が大変強い思いを持っていた。その思いを受け継ぐことが大事なことだ」と呼びかけた。

会合では、安倍氏を永久顧問とする役員案を了承。この日は厚生労働省から、大麻の適切な利用の推進に向けた関連法改正の検討状況をヒアリングした。

産業用大麻は戦後の占領政策の一環で、乱用薬物と同様に大麻取締法で規制され、栽培や出荷に厳しい基準が設けられた。

厚労省によると、昭和29年に全国で3万7千人いた栽培者は、令和3年に27人まで激減した。この結果、国産大麻は高騰し、神事で質の悪い中国産大麻の使用を余儀なくされている神社も多いという。

安倍氏は4月に発足した勉強会の初会合で「大麻というだけで偏見を持たれているが、神事において麻は絶対的に必要だ。産業振興の観点から政治の場で考えていく必要がある」と訴えていた。

一方、安倍氏が顧問を務めていた勉強会「保守団結の会」も、同日党本部で会合を開いた。冒頭、共同代表を務める高鳥修一衆院議員が安倍氏を「永久顧問」とすることを報告し、出席議員らが拍手で了承した。

同会は3日にも会合を開き、憲法改正や教育、財政などの各分野で「戦後レジーム」からの脱却を目指した安倍氏の路線を推進する方針を確認していた。

29日の会合では、第2次安倍政権で内閣官房副長官補として外交安保政策を担った兼原信克氏を講師に招聘(しょうへい)。安倍氏が「台湾有事は日本有事だ」と警鐘を鳴らしていたことを踏まえ、台湾をめぐる日本の安全保障体制について議論した。

安倍氏を永久顧問としたことについて、高鳥氏は「安倍氏の考えをしっかりと継承していく会だ」と強調した。(今仲信博、児玉佳子)

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