ロシア、日本と平和条約交渉中断 ビザなし交流停止

北海道・根室半島の納沙布岬(左下)沖に広がる北方領土。歯舞群島(中央)、色丹島(右上)、国後島(左奥)。はるか右奥にうっすらと択捉島が見える
北海道・根室半島の納沙布岬(左下)沖に広がる北方領土。歯舞群島(中央)、色丹島(右上)、国後島(左奥)。はるか右奥にうっすらと択捉島が見える

ロシア外務省は21日、北方領土問題を含む日本との平和条約締結交渉を中断すると発表した。ウクライナ侵攻を理由とした対露制裁への参加が理由とみられる。一方、ロシア国防省は21日までに、激戦が続くウクライナ東部マリウポリからウクライナ軍を撤退させ、降伏するようウクライナに要求した。同国政府は「武器を置かず、街からも出ない」と要求を拒否した。

ロシア外務省は同日、北方領土での日本との共同経済活動から撤退し、北方領土への旧島民の墓参などを目的とした日本とのビザなし交流を停止することも発表した。

ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、米CNNとのインタビューで、プーチン露大統領に直接会談を改めて呼びかけ、交渉が失敗すれば「第三次世界大戦」につながると警告した。

マリウポリ市によると、露国防省は20日夜、同市に降伏を勧告。21日未明までの回答を迫った。ウクライナ政府はこれを拒否し、降伏を勧告するのではなく、民間人を退避させる「人道回廊」を設置すべきだ-と主張した。

アゾフ海に面する要衝マリウポリをめぐっては、露軍が約3週間にわたり包囲し、激しく攻撃、市内には30万人以上の市民が取り残され、死者は既に数千人に達したと報告されている。

露軍は首都キエフや各地への攻撃も継続。キエフでは20日夜の砲撃で8人が死亡した。露国防省報道官は21日、ウクライナ西部にある軍事訓練センターを破壊、「外国人雇い兵ら80人以上を殺害した」と発表した。

一方、チェルノブイリ原発をめぐり、国際原子力機関(IAEA)は20日、「4週間近く勤務してきた職員の約半数が交代し、帰宅できた」とウクライナ側から報告を受けたと発表した。露軍は先月24日の同原発掌握後、職員の帰宅を認めず、連続勤務を強制。職員の疲労による安全性への懸念が指摘されていた。

また、5回目となる停戦交渉が21日に行われたが、ウクライナはロシアが求める「中立化」に関して協議の用意があるとする一方、東部の親露派地域の「独立」や南部クリミア半島への露主権の承認には応じないとの立場を主張したとみられる。

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