「鬼平」主演で茶の間にも浸透 吉右衛門さん

「どれだけ若い人に江戸の香りを伝えられるか。それが役目」と話す中村吉右衛門さん(納冨康撮影)
「どれだけ若い人に江戸の香りを伝えられるか。それが役目」と話す中村吉右衛門さん(納冨康撮影)

歌舞伎俳優・中村吉右衛門さんの顔が、お茶の間にも浸透したのは、池波正太郎原作の時代小説を実写化したテレビ時代劇「鬼平犯科帳」。平成元年からフジテレビ系で放送されたシリーズに長谷川平蔵(鬼平)役で主演した。

昭和44年からNET(現テレビ朝日)系で放送された「鬼平犯科帳」で初代鬼平を演じたのは父の八代目松本幸四郎(初代松本白鸚)だった。江戸時代、幕府は南北町奉行所とは別に「火付盗賊改方」という特別警察組織を設置。凶悪犯たちから「鬼の平蔵」と恐れられた長官・長谷川平蔵と部下たちの活躍を描いた。

吉右衛門さんが演じた4代目鬼平は、取り締まりに当たる厳しい表情の中にも温かな人間味を漂わせた。鬼平は捕物による立ち回りや勧善懲悪だけでなく、人間の内面にある善と悪の葛藤を表現し、熱狂的な支持を集めた。

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