「極ZERO」課税訴訟、サッポロ側敗訴 地裁「第3のビールに該当せず」

 サッポロビールが販売したビール系飲料「サッポロ 極ZERO」が、税率の低い「第3のビール」に該当するかが争われた訴訟の判決が6日、東京地裁であった。古田孝夫裁判長は第3のビールには「該当しない」として、自主納付した酒税約115億円の返還を求めたサッポロ側の主張を退けた。酒税をめぐりビール類の解釈が争われた訴訟の判決は初とみられる。

 古田裁判長は「製品の製造工程、過程で採取された各種データなどを検討した結果、製品は『その他の発泡性種類』(第3のビール)に該当しないものと判断した」と述べた。

 極ゼロは平成25年6月、健康志向の消費者を意識した第3のビールとして発売された。痛風の原因とされるプリン体や糖質「ゼロ」の「世界初の製法」とうたい、人気を博した。しかし、発売から半年あまりたった26年1月、国税当局から、第3のビールに該当しない可能性があるとして製法の照会要請を受け、販売をいったん中止した。

 ビール類の酒税は主に3つに分かれ、「ビール」は1キロリットル当たり22万円(350ミリリットル当たり77円)で、再発売した極ゼロなどの「発泡酒(麦芽使用率25%未満)」は13万4250円(同46・99円)、極ゼロ旧商品など「第3のビール(リキュール)」は8万円(同28円)と最も低い。

 サッポロは第3のビールに該当しなかった場合の酒税の差額約115億円と、延滞税約1億2千万円を自主納付。製造方法を一部見直し、同年7月に麦芽使用率25%未満の発泡酒として極ゼロを再発売した。

 その後、サッポロは社内調査で第3のビールに該当すると結論付け、国税当局や国税不服審判所に返還を求めたが退けられたため、29年4月、返還を認めないとした処分の取り消しを求め、提訴していた。

 判決を受け、国税庁の山崎(やまさき)博之広報広聴室長は「国側の主張が認められたものであり、妥当な判決と考えている」とコメントした。

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