ベネズエラで国会議長が「暫定大統領」宣言 マドゥロ大統領が米国と断交表明

 【ニューヨーク=上塚真由、ワシントン=住井亨介、ベルリン=宮下日出男】南米ベネズエラのグアイド国会議長は23日、首都カラカスで開いた集会で、反米左翼のマドゥロ大統領に代わり、自ら暫定大統領に就任すると宣言した。国会は野党連合が多数派を占めているが、独裁体制を確立するマドゥロ氏によって権限を剥奪されている。AP通信などが報じた。

 トランプ米大統領は23日、グアイド氏を暫定大統領として承認するとの声明を発表。マドゥロ政権は野党勢力への弾圧を強めており、トランプ氏は軍事的選択肢の可能性について問われ、「あらゆる選択肢を検討している」と答えた。マドゥロ氏は23日、米国との国交断絶を表明した。

 カナダや、ブラジル、コロンビア、アルゼンチン、ペルーなどの中南米諸国もグアイド氏の承認を表明。欧州連合(EU)のトゥスク大統領も「欧州全体が団結して支持することを望む」とツイッターで表明した。一方、ロシアやメキシコ、友好国であるボリビア、キューバはマドゥロ氏支持を明らかにした。

 野党連合の呼びかけで23日にはベネズエラ全土で反政府デモが行われ、一部で治安部隊が催涙弾を使って鎮圧。スペインのメディアによると少なくとも8人の死者が出ているという。

 マドゥロ氏は昨年5月の大統領選で有力野党候補を排除することで再選。今月10日に2期目の就任式を行ったが、欧米や日本は「不公正だった」として政権の正当性を認めていない。

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