トランプショック 就任1年(上)

「非常に安定した天才」トランプ大統領が自動車産業に荒療治 米国第一、復活のデトロイト

 米自動車大手のビッグスリーが拠点を置いた中西部ミシガン州デトロイト。金融危機後の2013年に財政破綻した自動車の街は約1年前まで、「ラスト・ベルト」(さびついた工業地帯)と呼ばれあえいでいた。

 「この街、そしてわが社は生き残るのに必死だった。だが今、デトロイトは米国の『カムバックした街』となった」。14日に開幕した世界最大級の自動車展示会「北米国際自動車ショー」で、フォード・モーターの新車発表に登壇した創業家会長、ウィリアム・フォードは米自動車産業の再生をそう宣言した。

 奇跡的ともいえるデトロイトの再生劇は、1年前に米大統領に就任したトランプが発した大号令から急激に展開した。

 「雇用を取り戻す」とのスローガンを掲げるトランプは、ツイッターを駆使し米国外への移転を表明した企業をののしった。矛先を向けられたくないビッグスリーは「つぶやき」に雪崩を打ったように応じた。

 昨年、メキシコ工場新設を中止したフォードは今年デトロイト近郊の工場の雇用拡大を表明。米欧連合フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は州内の2500人の新規雇用を発表した。ゼネラル・モーターズ(GM)も国内投資を10億ドル(約1110億円)引き上げた。

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