イランにインド支援の港 中央アジアに直通路、影響力強める中国牽制も

 【ニューデリー=森浩】イラン南東部チャーバハールでインドが資金援助した港が完成し、3日に開港式典が開かれた。これによりインドは対立するパキスタンを迂回し、イラン経由でアフガニスタンや中央アジアへ通じる入り口を得たことになる。インド洋への進出を狙う中国を牽制する意味合いも強く、域内で中印の主導権争いが激化することになりそうだ。

 チャーバハールは、オマーン湾に面し、インド洋側からのアクセスが容易な地点に位置する。2016年5月にインドのモディ首相がイランを訪問した際に大規模投資を約束。港湾整備に5億ドル(約563億円)が投資され、さらに港からアフガン国境に近いザーヘダーンまで約500キロの鉄道も設置されるという。

 巨額の投資でインドが得るのは、イラン国内を通じて、アフガンや中央アジアと直接アクセスできるルートだ。既にインド西部グジャラート州から小麦が荷出しされており、同港からアフガンに運ばれる。

 アフガンから中央アジアは鉄鉱石など地下資源が豊富な地域であり、インドは影響力を強めたい意向だ。印政治評論家ラメシュ・チョプラ氏は「パキスタンがインドの北西方向への戦略を阻害しており、これまで思うように取引ができなかった」と説明する。

会員限定記事会員サービス詳細