イスラム国(IS)

イスラム国が事実上の崩壊 シリア北部の「首都」ラッカ解放

 【カイロ=佐藤貴生】イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)が「首都」と称してきたシリア北部ラッカについて、AP通信は17日、米軍の支援を受けるシリア民主軍(SDF)報道官の話として、「戦闘は終結し、ラッカを解放した」と伝えた。「首都」の陥落でISが標榜してきた「疑似国家」は事実上、崩壊した。

 シリア人権監視団(英国)は同日、「IS勢力が完全に掃討された」と発表した。ISの最高指導者、アブバクル・バグダーディ容疑者ら幹部の所在は不明。同監視団はIS幹部らの逃走先とされるシリア東部デリゾールの90%以上をアサド政権軍が制圧したと明らかにした。

 一方、ロイター通信が同日、米軍当局者の話として伝えたところによると、約100人のIS戦闘員が残っているという。SDFは残存する戦闘員の捜索や地雷除去を行っている。

 ISが2014年にラッカを「首都」に定め、実効支配してきたが約3年ぶりに解放された。ISは今年7月、重要拠点のイラク・モスルを失っている。

 SDFは6月上旬、米軍など有志連合による空爆の支援などを受け、ラッカ市内への進攻作戦に着手。今月15日には「最後の攻撃」を始めたと述べ、最終局面に入ったと明らかにしていた。

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