ソウルから 倭人の眼

難題山積の文在寅政権の韓国 熱狂的な左派の期待に応えられなかったとき、何が待っているか やられたことは…

 経済、外交、安保。現在、文在寅政権が発足当初から直面している難題のほとんどに野党時代の文氏が関わっており、「無能」(韓国紙)と呼ばれた朴槿恵前政権の足を引っ張るかたちで、一層ややこしいものにしてしまった。しかも、自分で越えるべきハードルを高くしてしまった。自業自得の面は否めない。

7カ月以上の多忙、今後も

 文在寅大統領の多忙さに話は戻る。この忙しさは、さかのぼれば少なくとも7カ月前からだと思う。文氏は昨年10月に、事実上の大統領選挙への出馬を表明。その直後に、当時の大統領、朴槿恵被告の親友で女性実業家の崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入事件で、韓国の混乱が始まった。

 以降、今年3月の朴被告の罷免決定まで、文氏は自ら毎週土曜日の「朴槿恵退陣要求デモ」の大規模集会に参加するなど、朴槿恵政権の非難に明け暮れた。当然、文氏は、本来なら今年12月に実施されるはずの大統領選挙の前倒しを見越して動いていたはずだ。

 朴被告の罷免後、文氏は所属する左派政党「共に民主党」の大統領選公認候補選びにそのまま挑み、大方の予想通り、公認を勝ち取った。

 振り返れば、その内容の善しあしはともかく、文氏はすでに7カ月以上、朴槿恵政権の猛烈な否定と、自身の政権掌握のために全力を注いできた。しかも、前大統領の職務停止と罷免という権力の空白の後で、自身も複雑化に手を加えてしまった難題が山積だ。

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