太平洋セメントの廃線敷、緑の遊歩道&鉄道遺産に 埼玉

 ■東松山市「まなびのみち」として整備へ

 東松山市は太平洋セメントから寄付された廃線敷について、観光拠点を結ぶ遊歩道として今年度から2カ年事業で整備する。市の総合戦略で南部観光ルートに位置づける「まなびのみち」の一部となる。9月議会に提出した一般会計補正予算案に今年度の第1期区間として約1・1キロ分の事業費5100万円を計上した。(石井豊)

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 廃線敷はセメント運搬用の引き込み線で、昨秋に同社などから総延長約2・7キロが寄贈された。線路はレールや枕木が撤去されているが、敷き詰められたバラスト(砂利)が残り、草に覆われている。このうち、東武東上線高坂駅から葛袋産業団地などを経て、同市下唐子の市道46号を結ぶ約2・4キロが「まなびのみち」として整備される。

 今年度は高坂駅から約300メートル離れた同市高坂の市道57号から同市西本宿の市道49号までの約1・1キロを、幅4メートルのアスファルト舗装で整備。歩行者や自転車の専用道路で、自然が残る林や畑の中を通り、化石と自然の体験館や工場見学ができる葛袋産業団地などに行くことができる。来年度早々の供用開始を目指す。

 来年度は高坂駅そばと市道49号から市道46号までの計約1・3キロを整備する。鉄道があった証しとなる切り通しや鉄橋、コンクリート橋なども残っており、市は鉄道の産業遺産としてノスタルジックな雰囲気を持たせて整備する方針。

 市都市計画課によると、「まなびのみち」は廃線敷に加え、丸木美術館やくらかけ清流の郷、県こども動物自然公園、大東文化大などを通る既存の県道、市道を結んで設定。体験や学びなどのコースを創設し、市南部の観光施設をネットワーク化していく考えだ。

 同課は廃線敷の整備について「単なる遊歩道ではなく、特に来年度分は目的地として鉄道の産業遺産を楽しむ場にしたい」と話し、観光資源としても期待している。

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