オーストリア大統領選、決選投票やり直しへ 憲法裁、極右の異議申し立て支持

 【ベルリン=宮下日出男】オーストリアで5月下旬に行われた大統領選挙の決選投票をめぐり、同国の憲法裁判所は1日、開票作業に不正があったとして選挙無効を求めた極右の自由党の異議申し立てを支持した上、決選投票を再実施するよう命じた。

 決選投票は5月22日に行われ、リベラル政党「緑の党」の前党首、ファン・デア・ベレン氏が自由党候補のホーファー氏を破って当選。だが差はわずか約3万1000票で、やり直し選挙の結果は予断できない。

 自由党は郵送票の開票所の多くで選管当局者の立ち会い前に作業が開始されたなどとして異議を申し立てていた。開票では当日投票分の作業終了時点でホーファー氏が優勢だったが、郵送票開票でファン・デア・ベレン氏が逆転した。

 大統領選は難民・移民流入対応が主要争点で、二大政党の社会民主党と国民党の両候補がともに第1回投票で敗退。決選投票は欧州連合(EU)に懐疑的で難民受け入れ反対のホーファー氏、親EUで難民に寛容なファン・デア・ベレン氏の間で大激戦となった。

 大統領には軍の最高指揮権があるが、国政の実質的な権限は首相にある。

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