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報道の自由 批判を恐れ萎縮するテレビジャーナリズム 安倍宏行氏

【iRONNA発】報道の自由 批判を恐れ萎縮するテレビジャーナリズム 安倍宏行氏
【iRONNA発】報道の自由 批判を恐れ萎縮するテレビジャーナリズム 安倍宏行氏
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パリに本部を置く「国境なき記者団」が毎年公表する報道の自由度ランキングで、日本は72位に転落した。安倍晋三政権による「報道圧力」を指摘する野党や左派メディアはここぞとばかりに自由の危機を憂えたが、なぜかテレビだけはこの問題にダンマリを決め込む。そこにはテレビ局側の「内」なる事情もあるらしい。(iRONNA)

最近、「日本に報道の自由はない」とか「安倍政権がメディアに圧力をかけている」との批判が活字メディアを中心に頻繁に見られる。

筆者は3年前にテレビ局を辞し、フリーのジャーナリストとして独立して以来、政府の報道に対する圧力はあるか、と幾度となく既存メディア(特に新聞、雑誌)から取材を受けたが、いつも「干渉が全くないかと言うと、そんなことはないが、圧力というほどのものは感じたことがない。それによって自分の記事の内容がゆがめられたこともない」と答えてきた。

過剰なリスク管理

21年間の記者生活で、「政治の圧力」を感じたことがないのだから正直にそう答えたまでだ。ついでに言うと、「スポンサーの圧力」を指摘する声も多いが、それも一度たりとも感じたことはない。

では、なぜこれほどまで執拗(しつよう)に「日本に報道の自由がない」という言説が跋扈(ばっこ)するのか。それはひとえに、既存メディアである新聞、テレビの報道姿勢にあると筆者はみている。とりわけ、政治スキャンダルのスクープなどで存在感を発揮する週刊文春などの週刊誌ジャーナリズムの元気がいいから、余計に既存メディアの消極的な報道姿勢が目立つ。

特にテレビだ。「自主規制」という言葉がしっくりくるが、テレビの報道姿勢が非常にあいまいになっている印象を持つ。この春、古舘伊知郎氏(テレ朝系「報道ステーション」)、国谷裕子氏(NHK「クローズアップ現代」)、岸井成格氏(TBS系「NEWS23」)が降板したが、これは政府の圧力というより、テレビ局の判断だったというのが本当のところだろう。その背景にあるのは、局幹部の過剰な「リスク管理」意識、いや「忖度(そんたく)」したといってもいい。

筆者の感覚だと、ここ15年くらい、テレビ局内のこうしたリスク管理意識は強まる一方だ。背景には、インターネットを中心に強まるテレビ局批判がある。これまで可視化されてこなかった批判が一気に噴出し、それが増幅されてきた経緯がある。

時にはいわれない理由でバッシングが起きることもある。フジテレビの韓流押し批判など、その最たるものだが、身に覚えがなくても、いとも簡単にネット世論は沸騰する。そして、テレビ局の評価は下がる一方だ。

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