オーストリア大統領選、反移民の極右政党候補が首位で決選投票へ

 【ベルリン=宮下日出男】オーストリアで24日、大統領選挙が実施された。暫定集計によると、難民や移民対策の厳格化を主張する極右、自由党のノルベルト・ホーファー氏(45)が得票率36・4%で首位を確保した。当選に必要な過半数には届かず、5月22日に上位2候補で決選投票が行われる。

 欧州へ多くの難民や移民が流入するなか、オーストリアはドイツなどに向かう移民らの主要経由地となっている。寛容な政策をとってきた中道左派の社会民主党、中道右派の国民党の連立政権は入国制限の導入など厳しい姿勢に転じたが、昨年の難民申請者は前年比約3倍の約9万人に上り、国民には不満が高まっていた。

 暫定集計によると、ホーファー氏に続いたのはリベラル政党、緑の党のアレクサンダー・ファン・デア・ベレン氏(72)。得票率20・38%で決選投票への進出を決めた。社会民主党と国民党の候補はいずれも約11%にとどまり、第2次大戦後、初めて両党以外の大統領が誕生することが確実となった。

 自由党はかつてナチス擁護発言などで物議を醸したハイダー氏が党首を務め、国民党と連立を組んだ際には欧州諸国から強い非難が上がった。自由党は選挙結果に「新たな政治の時代の始まり。ホーファー氏が国民の守護者となる」と強調。オーストリアでは2018年に総選挙が予定されており、社会民主党と国民党は危機感を強めている。

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