G20

中国に迫られた2つの難題 財政出動と構造改革に矛盾

 【上海=河崎真澄】G20財務相・中央銀行総裁会議で市場安定化へ打ち出された「すべての政策手段を動員する」とのメッセージが中国経済運営に難題を突きつけている。金融政策だけでは支えきれないとして、公共投資など財政出動による景気対策や構造改革の加速に踏み込むよう求めた。だが、過去の景気対策の副作用で生じたバブルの後始末に苦しむ中国にとって、財政出動と構造改革は矛盾をはらんでいる。

 中国は2008年のリーマン・ショック直後、4兆元(当時のレートで約50兆円)に上る巨額の緊急景気対策を実施。高速鉄道整備や不動産開発などで、世界最速のV字回復で成長軌道を取り戻した。ところが建設ありきで需要が追いつかず、赤字プロジェクトだらけに。水面下では建設にからむ汚職も蔓延(まんえん)した。

 財政出動に再びカジを切ることは、リーマン・ショックの後に起きた「悪夢の再演」にほかならない。

 鉄鋼などの素材産業はなお需要の2倍を超える過剰な生産設備を抱え、住宅在庫は1年分以上も残って空き屋だらけ。政府のかけ声で十分な信用調査もないまま貸し付けた融資は不良債権の山。麻生太郎財務相が求めた「過剰設備と過剰信用」の構造改革は急務。

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