韓国、安全保障関連法成立も黙認 日中韓首脳会談見すえ、対日関係改善に腐心

 【ソウル=名村隆寛】安全保障関連法が国会での混乱の末に成立した。韓国メディアや市民団体の間に根強く残る日本への警戒論とは対照的に、韓国政府はクギを刺しつつも、日本の集団的自衛権行使を黙認する構えだ。10月の朴槿恵(パク・クネ)大統領の訪米や、同月末か11月初めの日中韓首脳会談を見据え、現実を無視できないためだが、朴政権にとっては韓国国内の対日批判勢力への対処が当面の課題となっている。

 参院での安保関連法案が未明に成立した19日、韓国外務省は午前中に早々と報道官論評を発表した。「平和憲法の精神を堅持し、地域の平和と安定に寄与する方向で(防衛・安保政策を)透明に進めなければならない」という内容で、「日本の集団的自衛権の行使が朝鮮半島の安保や韓国の国益に関わる場合は韓国の要請か同意が必要だ」と主張した。

 テレビは朝のトップニュースで報じ、朝刊には、未明での法案成立を「締め切り」のギリギリに見出しをかろうじて掲載したものが見られた。土曜日で韓国社会が休日ムードに入っていたことや、20日が休刊日(韓国の一般紙は毎週日曜日は発行されない)であったせいか、メディアが大騒ぎしたーとの印象はなかった。

会員限定記事会員サービス詳細