主張

世界遺産登録 喜びに水さす歴史介入だ

 「軍艦島」として知られる端島(はしま)炭坑(長崎市)など「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録が決まった。

 登録は、非西洋の国で初めて近代化を達成した日本の歩みを伝える意義がある。8県23施設の関係者の喜びは大きい。

 だが、決定をめぐり大きな禍根を残したと指摘せざるを得ない。遺産の意義とは無関係な朝鮮半島出身者の「徴用工」をめぐり、政府が、「一部の施設で強制労働させられた」という韓国側の主張への配慮を示したためだ。

 安倍晋三政権として、韓国政府の史実を踏まえない要求に譲歩したことは否めない。歴史への不当な介入を許してはならない。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の委員会で、日本大使は、一部の施設について「1940年代に朝鮮半島などから多くの人々が意思に反して連れてこられ、厳しい環境で労働を強いられた」と述べた。「被害者を記憶にとどめる情報センター」を設置することも表明した。

 だが、韓国側がいう強制労働との批判がそもそも誤りである。徴用は法令(国民徴用令)に基づいており、賃金支払いも定めた合法的な勤労動員である。むろん、日本人にも適用された。

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