正論

忍耐と長期戦略で辺野古移設を 平和安全保障研究所理事長・西原正

 去る5日に那覇市で行われた菅義偉官房長官と翁長雄志沖縄県知事との会談は予想通り平行線で終わった。普天間飛行場の辺野古移設に強く反対する知事は、「沖縄県が自ら普天間を提供したことはない」として辺野古移設に代わる案を提案しなかった。これに対し官房長官は「日米同盟の抑止力の維持、そして危険除去を考えたときに辺野古移設はただ一つの解決策だ」として政策を論じた。

 《移設容認派だった知事の豹変》

 沖縄に関する特別行動委員会(SACO)が普天間飛行場の返還を決め、代替施設としてキャンプ・シュワブの可能性を検討するとしたのが1996年であった。その後、曲折をへて仲井真弘多前知事の時にようやく移設が正式決定となり辺野古の埋め立て工事が始まった。にもかかわらず、かつては辺野古移設推進派であった翁長知事が態度を豹変(ひょうへん)させて「絶対に建設することができない」と挑発的な発言をしているのである。

 先月23日に知事は、防衛省の辺野古沖でのボーリング調査作業で許可をしていないサンゴ礁を損壊したとして作業停止指示を出したが、菅氏との会談ではさらに踏み込んで、本土への「恨み」、中央政府への不信感をあらわにした。

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