関西の議論

「近江を制するものは天下を制す」信長、秀吉ゆかりの城の国…埋もれた山城を発掘地方創生に

【関西の議論】「近江を制するものは天下を制す」信長、秀吉ゆかりの城の国…埋もれた山城を発掘地方創生に
【関西の議論】「近江を制するものは天下を制す」信長、秀吉ゆかりの城の国…埋もれた山城を発掘地方創生に
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 国宝・彦根城をはじめ、織田信長が築いた幻の安土城や秀吉ゆかりの長浜城など、歴史上名高い城が多い滋賀県。今も昔も交通の要衝で、たびたび歴史の舞台として登場するこの地には、山城を中心に中世の城跡が約1300あるとされる。この豊かな歴史遺産を地域の活性化に結びつけようという取り組みが地元住民らを中心に進んでいる。埋もれた山城跡を見つけ整備し、観光振興に役立てようというもので、専門家も「かつて地域を守るために築かれた城だが、今は地域が城を守る立場。しっかり守って魅力を発信していってほしい」と期待する。(小川勝也)

山城の魅力

 かつての近江国(現在の滋賀県)は、東海道や中山道、北陸道など主要な街道が交わり、琵琶湖の水運もあって歴史上たびたび重要な役割を果たしており、「近江を制するものは天下を制す」といわれた。

 城では国宝の天守閣を持つ彦根城(彦根市)や、豪壮な天主があったとされる安土城(近江八幡市)などが注目されがちだが、山の地形を利用して土塁や堀切などを張り巡らせた城郭も独特の魅力がある。築年代や由来もはっきりしないものが多いが、地域の歴史を顧みる上での貴重な遺産だ。

 そうした山城跡を、歴史愛好家の住民グループなどが自治体とともに再発見に努める動きが県内で活発化している。

散策道などを整備

 「土塁を囲って、柵を置いたらどうだろう」「遊歩道があれば、歩きやすくて多くの人が来てくれるのでは」

 昨年12月中旬、旧東海道が通る県南部の甲賀市水口町今郷の山中で、郷土史研究やまちおこしを手がける住民グループ「今郷好日会」のメンバーらが倒木を切ったり、草刈りをしたりしていた。

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