アジアの目

豪州「もう難民はお断り!」 カンボジアへの難民移送に「人権侵害」の声も…

 オーストラリアは、ボートを使ってオーストラリアへの密航を図るボートピープル対策の一環として、これまでの太平洋諸国などの移送、定住策に加え、カンボジアへの定住を進めることを決め、カンボジア政府と合意した。かつて内戦で出た多くのカンボジア難民を受け入れたオーストラリアが、今度はカンボジアに難民の受け入れを依頼する形だ。しかし、国際社会からは、カンボジア自体が最貧国の一つであることから、「オーストラリアの国益を優先するもので、人権侵害だ」(人権保護団体、ヒューマン・ライツ・ウォッチ)などとする批判が噴出し、アボット政権は対応に苦慮している。

4年で38億円

 オーストラリアとカンボジア両政府の交渉は秘密裏に行われてきたが、9月26日、難民の移送と受け入れについて、正式に合意し、覚書に署名した。現地紙オーストラリアンなどによると、現在、ナウルに収容されている難民申請者のうち、希望する人について、難民と認める代りにカンボジアへの移住を進める。カンボジア側が難民を受け入れるための設備などを設置する費用として、豪政府は4年間で4000万豪ドル(約38億円)を供与する。年内にも数人の試験移住を行う計画とみられる。

会員限定記事会員サービス詳細