月刊正論

秘密保護法でバカ騒ぎ 左翼媒体と堕した進歩派マスコミ

 米国のスパイ防止法に比べてかなり「緩い」特定秘密保護法に大反対した新聞、テレビ、学者、芸能人たちの空虚な主張とは(評論家 潮匡人 月刊正論2月号

 「諸君の成功は公表されない。しかし、失敗は喧伝される」-かつてCIA本部庁舎の落成式でケネディ大統領がこう述べた(フリーマントル『CIA』新潮選書)。前任者のアイゼンハワーも、同じ庁舎の定礎式でこう述べた。「成功は喧伝できないし、失敗は釈明できない。諜報機関の仕事では勲章は授けられず、たたえられることもない」(ワイナー『CIA秘録』文藝春秋)。

 古今東西、インテリジェンスの世界は秘密のヴェールで覆われている。ただ、CIAとて完全無欠ではない。いくどもヴェールが剥がれてきた。スノーデン元職員による機密漏洩事件は記憶に新しい。

 アメリカには、防諜法ないしスパイ防止法とでも訳すべき連邦法があり(Espionage Act・合衆国法典18編)、機密漏洩には死刑を含む刑罰を定めている。それでも漏洩が起きる。秘密の保護は容易でない。

 12月6日深夜、参議院本会議で特定秘密保護法が可決成立した。こうした法律がこれまでなかったことが不思議である。しかもこの法律は、国会公務員法改正とでも評すべき内容であり、スパイ防止法の類いではない。最高刑も懲役10年に留まり、死刑はおろか無期懲役にもならない。多くの判決が執行猶予となろう。実刑判決が確定しても、どうせ数年で仮釈放される。こんな緩い法律で、本当に特定秘密を保護できるのか。そうした疑問すら生じる。今後、新たにスパイ防止法を整備すべきではないのか。

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