山形県遊佐町の採石訴訟、県の申請拒否処分を取り消し 山形地裁

 山形県遊佐町の臂曲(ひじまがり)地区で計画されている採石事業をめぐり、採取区域の拡大などの申請について県が書類不備を理由に拒否したのは違法だとして、秋田県にかほ市の採石業「川越工業」が県を相手取り処分の取り消しを求めた行政訴訟の判決で、山形地裁の貝原信之裁判長は21日、県の拒否処分を取り消した。

 川越工業は平成28年12月、遊佐町臂曲地区で行っている採石事業を拡大するため森林法に基づき、期間の延長などを県に申請。これに対し県は「申請には林野庁長官通達が規定する遊佐町長と森林保全などに関する協定(協定書)が結ばれておらず、環境を悪化させる恐れがある」として、協定書省略のままでは申請を認めなかった。

 訴訟では、森林開発の申請で、県が定める地元自治体長との協定書の提出が法的に必要かどうかが争点になった。貝原裁判長は判決理由で「同社が提出した申請書に協定書はなかったが、地元町長との協定書は不可欠ではなく、森林法施行規則に基づく計画書で必要な具体的事項を判断しうる」と判断し、県が協定書がないことを理由に申請を拒否した処分を「違法で、取り消しは免れない」と結論づけた。

 判決を受け、川越工業の川越恵次社長は「山形県が認可した土地で採石をしてきた。その国民の財産である(弊社の)土地に違反しているのは山形県であり遊佐町だ。裁判所は法の正義に則り正しく判断してくれたと思う」と話した。

会員限定記事会員サービス詳細