出雲空港滑走路付近で確認されたトモエガモの群れ=2023年12月18日、出雲市斐川町沖洲(読者提供)
出雲空港滑走路付近で確認されたトモエガモの群れ=2023年12月18日、出雲市斐川町沖洲(読者提供)

 カモの一種、トモエガモの大群の目撃が出雲空港(出雲市斐川町沖洲)周辺で相次いでいる。密集して群れをなす習性があり、一面を黒く埋め尽くすように飛ぶ。島根県の調査で個体数が急増しており、空港関係者からはエンジンに鳥が巻き込まれたり、主翼などにぶつかったりする「バードストライク」を懸念する声が上がる。 

 県のガンカモ類の生息調査によると、宍道湖に飛来するトモエガモは従来、年間で1万羽未満だったが、2023年度は5万8千羽に急増した。空港付近では、少なくとも昨年12月18日と今年1月7日に大群が確認された。

 敷地が広く、人の出入りが少ない空港は、鳥にとって絶好のすみかだ。空港管理事務所の藤井光男業務課長は「何よりバードストライクを危惧している」と警戒する。

 バードストライクが発生すると、離着陸できずダイヤに乱れが生じるほか、最悪の場合、事故を招く恐れがある。今月10日には、韓国の仁川(インチョン)国際空港に着陸する旅客機のエンジンに鳥が巻き込まれ、炎が噴き出す事故が発生した。

 トモエガモはロシア付近で繁殖して日本や韓国、中国で越冬する。宍道湖グリーンパークによると、増加した原因は不明という。飛来が多いのは朝晩。追い払うには音を出すしかないのが実情で、空港管理事務所は「バードスイープ」と呼ばれる打ち上げ花火を使って威嚇している。2月上旬ごろまでとどまる可能性があるという。

 空港管理事務所によるとバードストライクは、21年度は離着陸8830回のうち27回、22年度は1万1396回のうち28回起きている。藤井課長は「パイロットや管制塔との連携を一層強め、ダイヤの遅れや事故が発生しないように注意する」と話した。

 (佐野翔一)