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太田光、ラジオで岡村発言に持論「リスナーを勇気づけたかった」 さまざまな立場の背景を推察【コメント要旨掲載】

 お笑いコンビ・爆笑問題太田光が、5日深夜放送のTBSラジオ『火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ』(毎週火曜 深1:00)に出演。先月23日の自身のラジオでの“風俗嬢”発言で炎上したナインティナイン岡村隆史について、約45分にわたって持論を展開した。

(左から)太田光、岡村隆史 (C)ORICON NewS inc.

(左から)太田光、岡村隆史 (C)ORICON NewS inc.

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 30日の放送では岡村は何度も反省と謝罪の言葉を繰り返し、相方の矢部浩之も登場して“公開説教”で岡村の問題点を何度も指摘。これを受けて、3日放送のTBS系『サンデー・ジャポン』で、太田は「配慮も想像力も足りないけど、ある一定のリスナーを勇気づけようとした」と語り、詳細はラジオで言及すると予告していた。

 この日のラジオで、太田は若年層の貧困問題、風俗業界とフェミニスト団体の関係性、深夜ラジオとリスナーの信頼感など、テレビでは語りきれなかった自身の持論をたっぷり語った。太田の思いは放送を聴くことによって伝わるものだが、ここでは太田が指摘したポイントを補足としてまとめていく。

・矢部も相当つらかった
岡村が冒頭でひとり謝罪を繰り返していた様子を聞いて「胸が痛かった」という太田は、矢部が“公開説教”したところについても「矢部は(岡村の)一番近くにいるし、コンビ間でしかわからないけど、(ラジオを)聞いていて、矢部も相当つらかったんだな」と慮った。「先輩後輩で始まって…」とコンビ結成前からの関係性にも触れながら「矢部に『性格変えろ』とか言われて、オレも自分が言われているようで耳が痛かった」と明かした。

・若い人たちが切羽詰まっている
太田は、今回の発言が大きな問題となってしまった論点のひとつとして“若者世代の貧困化”を指摘。「岡村の発言が許せないとか、傷ついた人もいたんでしょう。そういう人たちは今に始まったことではない。根底にあるのは、オレたちが思ってる以上に、今の世の中で、若い人たちがすごく切羽詰まっている。行政が手を差し伸べようとしていても、それじゃ足りないくらいの貧困がある。彼らにしてみれば、大人が若者をずっと何十年も、苦しめ続けてっていう思いがある」と語った。

・若い人たちの怒りがオレらに向いている
太田は、自身の世代は高度経済成長期からバブルに沸いた時期を通っているため、終身雇用制度や福利厚生が充実していたが「そういう時代は過ぎ去って(今は)派遣切りやワーキングプアがある。最低賃金も低くて、生活保護も減額されている」と見解を披露。「政治とか社会の構造自体が、若い連中が死ななきゃならないぐらいの状況に何十年と続いている。オレは、世代論は好きじゃないけど、今の若い人たちは『大人がなんでこんな社会にしたんだ』っていう怒りが、オレらに向いている状況がまずある。そこに、今コロナの問題がきて、みんな厳しいけど、そのしわ寄せがまた若者にくるっていう焦りがある」とコロナ以前からの問題が顕在化した面もあると指摘した。

・岡村は気配を感じていなかった
新型コロナウイルスによる感染拡大の影響で、若者たちの不安や怒りが募っていく中、今回の岡村発言が飛び出したことから、太田は「一気にみんなの怒りが爆発して『岡村、許せん』ってなった。彼らが怒りを爆発させるには、そうなる状態があって、岡村はその気配を感じていなかった」と分析。「だけど、オレは岡村とその人たちはわかりあえないはずないと思っていて、難しいけど、重要なのは日本がそういう状態にあって、性風俗産業っていうのが、どういう状態にあるっていうことを理解してるかどうか」とさまざまな立場から想像力をめぐらせて、今の時代を読み解いていく必要があると説いた。

・本当は分断すべき問題じゃない
太田は、今回の岡村発言をきっかけにして、いろんな問題へと飛び火していると言及。「フェミニストと風俗の人たちというのは、考えが違う部分がある。だけど、フェミニストの人たちが決して風俗をやっている人たちを差別しているわけではないんだよ。いやしい職業だって思っているわけじゃない。でも、そこがわかりあえない部分がたぶんずっとある」と言葉を選びながらコメント。「(フェミニストの人たちは)本当に職業選択の自由がない状態で、社会構造として追い込められちゃってる、それを選ぶしかならない人たち、その格差をなんとかしようとしてる。それはお互い本当は分断するべき問題じゃないのに、風俗の人たちからすれば『私は好きでやっているし、この仕事に誇りを持ってる』となって、そこがわかりあえないところで難しい」とそれぞれの立場を考えながら話を進めた。

・同じ環境の人はひとりもいない
太田は「性風俗産業も濃淡があって。同じ環境の人はひとりもいないから。ポジティブにやっている人もいるし、生活に困ってやっている人もいるでしょう」とした上で「ざっくりとした雑感だけど、一時期キャバ嬢が憧れの職業になったこともあったりして。そういう(生活に困った)人たちはもちろんいるけれども、同時に憧れでやっている(人もいる)」とさまざまな動機があるのではないかと推論。「その中でも格差が生まれちゃうから、苦しいと思うし、コロナで本当に不安な中でやっているんだけど『性風俗業の労働環境を良くしよう』って言えないんだよ。彼女たちの仕事場はグレーゾーンだから。そこも戦っている人たちがいて、本当はちゃんと安全に働ける状態にしなきゃいけない。サービス業として、ちゃんと生活を補償される。前からずっとジレンマを抱えている人たちがいて、そういうバックボーンがある中での岡村の発言だった」とさまざまな問題が絡んでいると語った。

・岡村はリスナーに寄り添っていた
太田は、「こうあるべきだ」という社会的なプレッシャーからあふれてしまい、女性とのコミュニケーションもうまくない男性が「そこ(風俗)で救われることもある」と指摘。「風俗に行って癒される彼らと、貧困の若者を救いたいって人たちが救おうとしている相手が、全部じゃないけど重なっている部分があると思うし、そういう若者たちと岡村のリスナーも重なる」と分析した上で、岡村が「リスナーに寄り添うことを忘れてしまった」と発言していたことについて「オレの考えだけど、アイツは寄り添ってたんだよ。岡村隆史の言葉だから響くっていう人がいて。岡村も(リスナーからの)『風俗に行けなくなっちゃうかもしれない』っていうメールを読んだ時に『いや、待て待て』っていう気持ちで(発言をしてしまった)。勇気づけようとしたけど、それが間違いだったかもしれない。でも、岡村が勇気付けようとした人たちは、今、岡村を責めている人たちが助けようとした人たちなんだよ。岡村の気持ちは、岡村を責めている人たちが一番理解できるはずだと思う」と両者の視点から共通点を見出そうと試みた。

・わかりあえるんじゃないか
太田は「あくまでオレの印象だけど」とことわりを入れた上で、岡村の発言について「口調のイメージですけど『身を落として、この仕事に就いた』というイメージじゃなかったんじゃないかという気がする。良いか悪いかは別として、困窮して困った末に『これでしか』っていう人達っていうよりは、もうちょっと軽やかな(場合を想定していた)」と推察。「風俗は疑似恋愛だから、岡村がもしかしたら見落としているかもしれないけど、彼女たちは『楽しいですよ、この仕事』っていう、夢を売る仕事だから」と本音まではうかがい知れない部分もあると指摘した上で「フェミニストの人たちが『自分から選んでる人はいいんです。私たちが言っているのは、それしか選択できない人たちです』って言って、その違いを世間が理解できないのと同じように、岡村がいくら『不幸な人を喜ぼうとしたんじゃないです』と説明しても、こんだけ大きな問題になったら、大きな声にはかき消されちゃう。それと同じ経験を、そういう運動をしている人たちも、経験してると思う。だから俺は、わかりあえるんじゃないかっていう気がしている」と主張した。

・ラジオはまだ無法地帯だったのかもしれない
自身も長年深夜ラジオに関わっている太田だが「岡村がもう、20年以上も深夜ラジオをやっていて『ラジオがこんなに社会に大きく取り上げられるんだ』っていうことに関しては、疎くなっている」と指摘。自身や『月曜JUNK 伊集院光深夜の馬鹿力』のパーソナリティーを務める伊集院光とも、ラジオと世間の距離感について話をする機会が多いと言い「いつも考えているし、会えば『オレたちやっていてどうなるんだろう』って話しますよ。radikoができたり、発言がネットで取り上げられるようになったことで、社会性が高くなった。20年やり続けているからこそ、岡村はそこを認識するのが難しい。テレビは規制も激しくなって、それはそれで面白いんだけど、もしかしたらラジオはまだ無法地帯だったのかもしれない。深夜ラジオだからいいだろうっていう気持ちもない。最終的にリスナーとか大衆、大衆って言ったらおこがましいけど、お客さんが判断して、それがダメならダメっていうことになる。岡村も続けてきたことで、そうじゃないと理解できない人がいるし、若者が貧困で苦しんでいる、フェミニストの人たちもずっと続いてきたからこその怒りがある。だから、この3者はわかりあえないはずはない」と締めくくった。

 太田は言葉を尽くしながら、さまざまな立場に思いをはせて、今回の問題について自身の見解を述べていった。最後は「オレ以外は全員クビだな」と冗談交じりに呼びかけると、相方の田中裕二は「じゃあ、矢部と2人でやるわ。文化放送で」と笑いながらツッコミを入れて、冒頭のトークを終えた。

 『岡村ANN』は7日まで、『爆笑問題カーボーイ』は12日までradikoのタイムフリー機能で聴くことができる。

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  • (左から)太田光、岡村隆史 (C)ORICON NewS inc.
  • ナインティナイン・岡村隆史 (C)ORICON NewS inc.
  • 爆笑問題 (C)ORICON NewS inc.

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