ドラマ&映画 カテゴリ
ORICON NEWS

吉岡秀隆、映画デビュー作以来の「金田一」作品 渥美清さんへの思いを語る

 俳優の吉岡秀隆(47)が主演する単発ドラマ『悪魔が来りて笛を吹く』がNHK・BSプレミアムで28日(後9:00〜10:59)に放送される。推理作家・横溝正史(1902-81年)が1951(昭和26)年に発表した、私立探偵・金田一耕助が活躍する長編作品を映像化。かつて渥美清さん(1928-96年)が金田一耕助を演じた『八つ墓村』(77年、野村芳太郎監督)で映画デビューした吉岡にとって「金田一耕助は、いつも胸のどこかに棘(とげ)のように刺さっていたキャラクター」だったそう。「渥美清さんが金田一を演じた年齢を超す前にやっておきたかったという思いもあって、1年だけですけど実現できてよかった」と、特別な感懐を語ってくれた。

NHK・BSプレミアムで7月28日放送、スーパープレミアム『悪魔が来りて笛を吹く』金田一耕助役で主演する吉岡秀隆(C)NHK

NHK・BSプレミアムで7月28日放送、スーパープレミアム『悪魔が来りて笛を吹く』金田一耕助役で主演する吉岡秀隆(C)NHK

写真ページを見る

【写真】その他の写真を見る


 吉岡といえば、テレビドラマ「北の国から」シリーズ(1981〜2002年、フジテレビ)の黒板純役で名を馳せたが、それよりも前に出演した『八つ墓村』では主人公・寺田辰弥(萩原健一)の幼少時代(回想シーン)を演じた。

 「野村監督に『泣きながらこっちに走ってくるんだよ』と、何度も何度もやらされたことを覚えています(笑)。映画が公開された時、劇場の扉が閉まらないくらいたくさんの人で、父と母と通路に座って見た記憶もありますね。『祟りじゃぁ〜』の一言が強烈に怖かった印象も残っています」。

 『八つ墓村』の後、映画『遥かなる山の呼び声』(80年)で山田洋次監督に見出された吉岡は、『男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎』(81年)以降のシリーズにレギュラー出演し、渥美さんとの共演を重ねていく。

 「尊敬する渥美清さんの『八ツ墓村』が映画デビュー作だったので、今回、『ついに金田一が来た』という思いがありました。金田一耕助は、いつも胸のどこかに棘(とげ)のように刺さっていたキャラクター。渥美清さんが金田一を演じた年齢を越す前にやっておきたかったという思いもあって、1年だけですけど実現できてよかったです。なんでそう思っていたんでしょうね…。もし、年齢を越してしまったらできないような気がしていました。縁がなかったと思って、あきらめようと思っていたところもあった。それでも、こうして金田一役がきたので不思議な縁を感じています」。

 『悪魔が来りて笛を吹く』は、金田一耕助シリーズの中でも過去6回にわたって映像化されている人気作。1954年の映画(松田定次監督)では片岡千恵蔵、79年の映画(斎藤光正監督)では西田敏行、テレビドラマでは古谷一行片岡鶴太郎稲垣吾郎が金田一を演じてきた。

 「金田一耕助という役とは、とても懐の深い役。一生懸命ならば、誰でも受け入れてくれる役なのかな、と思いましたし、とても勉強になりました」。

 今回の監督は、映画『疾風ロンド』や『探偵はBARにいる3』などの吉田照幸氏(NHKエンタープライズ)。吉岡とは2016年と17年の正月にNHK総合で放送されたドラマ『富士ファミリー』でも一緒に仕事をしている。

 「『富士ファミリー』のほんわかしたホームドラマとは全く違う、陰鬱でドロドロとした人間の一番汚い部分が描かれた作品ですが、吉田監督となら、地べたに這いつくばるようにしてやっていけば、自然と金田一になれるような気がしました」。

 金田一耕助は、原作で「中肉中背、もじゃもじゃ頭によれよれのセル、よれよれの袴。形の崩れたお釜帽を被っている」などと形容されているが、すでに公表されている吉岡の金田一はもじゃもじゃ頭ではない。「コスプレ」になってしまうことを避けるため、敢えてもじゃもじゃ頭にはしなかったそうだ。

 「金田一のふりをすることより、一人の人間として、この事件の謎を解きたい、助けたいというモチベーションに重点をおいて演じました。『人はすべてを知ったつもりで真実を見失う』というせりふがあるんですが、そこに向かって進んでいけば金田一になれるだろうし、いままでにない新しい金田一が生まれる気がしていました。あとは衣装やメイクが僕を金田一にしてくれました」。

 原作の金田一には考える時に頭を掻くくせがあるが、これは吉岡も「頭を掻くのは本当にくせになった」というくらい、演じながら悩み、劇中で起こる悲劇に向き合ったという。

 「役者として基本に立ち返れるようなキャラクターでした。せりふを覚えるところから現場での立ち回り、相手がいてはじめて成立する芝居…、改めて勉強させてもらいました」。

 特に勉強になったというのが、謎解きをするラスト25分。台本にして約30ページ分、ほとんど金田一のせりふで占められている。吉田監督の話では、この30ページ分のシーンは2日に分けて撮影する予定だったが、「ロングを撮っている時にあまりにも吉岡さんの芝居が良くて、カットをかけずにいたら最後までいきかけて、先にテープが終わってしまったことがありました」といった珍事も。

 吉岡も「どこまでやるつもりだろうと思いながらやっていました。カメラがピーって、テープの終わりを告げているのに『カット』がかからないから(笑)」と笑って振り返り、「やりきった、全部捧げました、という感じです。事件が解決して、金田一には後悔があるかもしれないけど、僕に後悔はないです」と、力強く言い切っていた。

■あらすじ
 銀座の有名宝石店で、毒物を使った殺人事件が起きる。容疑者に目された旧華族の椿英輔は「これ以上の屈辱に耐えられない」と自殺を遂げる。その無実を信じる娘の美禰子からの依頼を受けた金田一耕助は、椿邸で行われた奇妙な占いに立ち会うが、その夜、館に居候していた元伯爵が殺害される。捜査を始めた耕助は、旧華族のインモラルでおどろおどろしい人間関係やおごり、それらが生み出した怨念と悲劇に向き合うこととなる…。

■キャスト
金田一耕助:吉岡秀隆
椿美禰子:志田未来
三島東太郎:中村蒼
菊江:倉科カナ
等々力警部:池田成志
玉虫公丸:中村育二
椿英輔:益岡徹
目賀重亮:山西惇
新宮利彦:村上淳
新宮華子:篠原ゆき子
新宮一彦:中島広稀
沢村刑事:市川知宏
おすみ:橋本マナミ
おかみ:山村紅葉
堀井駒子:黒沢あすか
小夜子:小林涼子
椿あき子:筒井真理子
慈道:火野正平
せつ子:倍賞美津子

関連写真

  • NHK・BSプレミアムで7月28日放送、スーパープレミアム『悪魔が来りて笛を吹く』金田一耕助役で主演する吉岡秀隆(C)NHK
  • 占いの最中のあき子(筒井真理)と美禰子(志田未来)、そして耕助(吉岡秀隆)(C)NHK
  • 父・椿英輔のフルートケースを手にした美禰子(志田未来)(C)NHK
  • NHK・BSプレミアムで7月28日放送、スーパープレミアム『悪魔が来りて笛を吹く』=占いの場には椿家の人々が一堂に会していた(C)NHK
  • NHK・BSプレミアムで7月28日放送、スーパープレミアム『悪魔が来りて笛を吹く』=占い後、砂の上にはある模様が浮かび上がって…(C)NHK
  • NHK・BSプレミアムで7月28日放送、スーパープレミアム『悪魔が来りて笛を吹く』=金田一耕助(吉岡秀隆)(C)NHK
  • NHK・BSプレミアムで7月28日放送、スーパープレミアム『悪魔が来りて笛を吹く』=ひとりでに鳴りだしたレコードの謎を解く耕助(吉岡秀隆)(C)NHK
  • NHK・BSプレミアムで7月28日放送、スーパープレミアム『悪魔が来りて笛を吹く』=椿家の人間関係について、聞き込みを行う耕助(吉岡秀隆)(C)NHK
  • NHK・BSプレミアムで7月28日放送、スーパープレミアム『悪魔が来りて笛を吹く』=美禰子(志田未来)にすべてを知る覚悟があるか尋ねる耕助(吉岡秀隆)(C)NHK

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索