Super 3Gの屋外実証実験にて実用化に向けた250Mbpsのパケット信号伝送に成功
<2008年3月26日>
NTTドコモ(以下ドコモ)は、第3世代移動通信W-CDMA方式の更なる発展に向け、屋外でのSuper 3Gシステムの実証実験を2008年2月末より開始し、下り最大約250Mbpsのパケット信号伝送に成功しました。
今回の実験は、実際の無線環境での性能把握およびシステムの更なる最適化を目指して、ドコモが本年2月末より横須賀地区にて屋外伝送実験を開始したものです。基地局送信および移動局受信にそれぞれ最大4本のアンテナを用いた下りMIMO1 伝送を用い、また、周波数帯域幅は標準仕様規定上最大の20MHz帯域幅を使用しています。その結果、屋外における、実際の無線環境においても最大約250Mbpsのパケット信号伝送を達成しました。
Super 3Gは、W-CDMAの拡張技術HSDPA2/HSUPA3 をさらに進化させた標準規格で、データ通信速度の高速化、接続遅延の短縮や周波数利用効率の向上など、飛躍的な性能向上を目的としたシステムです。W-CDMAの標準化団体3GPP4 にて、Long Term Evolution(以下LTE)5 と称して、標準化作業が進められ、既に主要な標準仕様が承認されています。
ドコモは、2006年7月にSuper 3Gの装置開発に向けたメーカ募集を行い、開発に着手しました。さらに、2007年7月より屋内試験を開始し、現在までに、基本的な性能確認とシステムの最適化を図ってまいりました。
本実験システムは、LTEの標準仕様に準拠したものであり、実証実験にて得られた結果は商用システムの潜在的な実現性を示すものです。
なお、本実験の詳細は、米国・ラスベガスにて2008年4月1日から開催される「CTIA Wireless 2008」において紹介する予定です。
ドコモは引き続き屋内外の環境において、システムの更なる最適化やハンドオーバーなどの主要機能の確認など、実用化に向けた検証を進め、2009年のSuper 3G商用システム開発完了を目指します。
- 1 MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)とは同一時刻、同一周波数を用いて、複数のアンテナから異なる信号を送受信する技術。
- 2 HSDPAとはHigh-Speed Downlink Packet Accessの略称です。これは、パケット通信の高速化への要求に対応するために3GPPでW-CDMAの発展型として標準化された下りの通信速度を飛躍的に向上させる技術です。方式上は、下り最大14Mbpsの高速通信が可能となります。
- 3 HSUPAとはHigh-Speed Uplink Packet Accessの略称です。これは、パケット通信の高速化への要求に対応するために3GPPでW-CDMAの発展型として標準化された上りの通信速度を飛躍的に向上させる技術です。方式上は、上り最大5.7Mbpsの高速通信が可能となります。
- 4 3GPP(3rd Generation Partnership Project)とはIMT-2000 W-CDMAの詳細な仕様を作成するパートナーシッププロジェクト。各国地域の標準化組織が、3GPPで作成された仕様を各国・地域共通の標準規格とする。世界の主要な移動通信関係会社を含む多くの会社や団体が加盟。
- 5 Long Term Evolution(LTE)とはSuper 3Gの3GPP名称。
Super 3G開発までの変遷
Super 3Gの開発目的
3Gの長期的発展型であり、3G周波数を効率的に使用して、お客様により快適な通信環境を提供することを目的とする。
また、ネットワーク構成を4Gにも適用可能とすることで、4Gの無線機能をもった基地局を導入するだけで4Gをスムーズに導入可能とする。
各規格のスペック表
【3G】 W-CDMA |
【3.5G】 HSPA(HSDPA/HSUPA)1 |
【3.9G】 Super 3G |
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周波数帯 | 3G用周波数帯(2GHz帯および3G用追加周波数帯) | ||
周波数帯域幅 | 5MHz | 1.4, 3.0, 5, 10, 15, 20MHz | |
無線アクセス方式 | DS-CDMA2 | OFDMA3(下り) SC-FDMA4(上り) |
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最大速度(上り) | 384kbps | 5.7Mbps | 75Mbps |
最大速度(下り) | 384kbps | 14Mbps | 300Mbps |
- 1 HSPA(High-Speed Packet Access)とは、HSDPAとHSUPAの総称。
- 2 DS-CDMA(Direct Sequence Code Division Multiple Access):
送信ユーザーデータに符号を掛け合わせる(拡散)ことで、無線チャネルの周波数帯域幅を広げて伝送する。また、ユーザごとに異なる符号を用いることで、複数ユーザ信号を多重して伝送可能とする。伝送時のノイズや他ユーザの干渉は広い帯域に散らばった低レベルの信号に分散されるため、通信品質への影響を小さくできる。 - 3 OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access):
周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各周波数帯上にデータを載せて伝送を行う方式。サブキャリアを周波数上に、一部重なりあいながらも互いに干渉することなく密に並べることで、高速伝送を実現し、周波数の利用効率を上げることができる方式である。 - 4 SC-FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access):
周波数帯域を分割し、複数の端末間で異なる周波数帯域を用いて伝送することで、端末間の干渉を低減することができる伝送方式。また、送信電力の変動が小さくなる特徴を持つことから、端末の送信器の構成が比較的簡素にできる方式である。
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