JR長崎線の並行在来線、肥前浜まで電化区間延伸 管理費はJR九州負担
2022年秋に西九州新幹線長崎―武雄温泉間が暫定開業後のJR長崎線の並行在来線について佐賀、長崎両県とJR九州が、電化区間を肥前山口―肥前鹿島間から1駅長崎寄りの肥前浜まで延伸することで合意したことが15日、関係者への取材で分かった。延伸に伴う電化設備の維持管理費はJR九州が負担する内容だという。
関係者によると電化の延伸はJR九州からの提案で、3者は7日に合意文書を交わした。すでに肥前鹿島、肥前浜の両駅がある鹿島市にも伝達したという。
並行在来線を巡っては07年の3者合意でJR九州が肥前山口-諫早(約60キロ)の運行を担い、線路などの鉄道設備は両県が買い取って所有。19年には肥前山口-肥前鹿島の電化を維持することで合意し、肥前鹿島から西側は諫早まで非電化となる予定だった。
肥前浜駅は伝統的な街並みが残る「肥前浜宿酒蔵通り」や日本三大稲荷の一つ、祐徳稲荷神社に近い観光の玄関口。大規模イベント時の臨時列車や、観光列車も定期的に停車している。
このため地元では肥前浜まで電化を延伸する要望が上がっていた。電化での運行に伴う経費負担の扱いがネックだったが、JR九州が負担することで決着したという。負担額は年間数百万円とみられる。佐賀県関係者は「(観光や通勤・通学での)利便性が維持できるよう、地元とともにJR側に要望したい」としている。
(河野潤一郎)