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陸上ノリを養殖、商業化へ 九大など実証実験進む

 陸上でノリを養殖する技術の商業化に向けた動きが進んでいる。これまでの常識を覆し、九州大などは人工的な生育環境で一年を通じて生産可能な養殖法の確立を目指し、実証実験を急ぐ。モヤシやカイワレ大根のように、ノリも気象条件に左右されず、食品工場で安定的に量産される日が来るのか、注目が集まる。

 九大のシャハ・ビデュットバラン教授(熱工学)などの研究グループは昨年12月中旬、実験用の海水が入手しやすい北九州市のビルで、希少種のアサクサノリを使った実証実験を始めた。今後、福岡市の九大キャンパスに移して継続する。

 現在のノリ養殖は種付けした網を海上に浮かべ、秋から冬にかけて葉状に成長したノリを摘み取り、春以降に種の準備に入る。生育は天候や海水温に左右され、冬の摘み取り作業は重労働だ。

 実験では、海水が入った約千リットルの水槽に1センチほどに切断したアサクサノリを投入。海水をかき混ぜながら人工光を当て、二酸化炭素(CO2)、養分などを外部から入れて水温を16度前後に保つと、3日後には4~5センチに成長するという。

 実際のプラントは直径1メートル、長さ25メートルほどの密閉された金属製の筒状容器を想定し、海から海水を送り込む。人工知能(AI)を活用し、光量やCO2などを自動調整するシステムを目指す。

 共同研究する鹿児島大の前田広人教授(環境微生物学)は「生産するノリの品質向上が課題だ。普及にはプラントの低価格化も不可欠になる」と話す。

 これとは別に、水産大学校(山口県下関市)などの研究グループは2018年までに、同県の特産品「カイガラアマノリ」の陸上養殖技術を開発した。

 生育ステージごとに最適な水温などを解明し、500リットルの水槽で月最大3キロを収穫できるという。現在は商業生産に取り組む企業や団体を探している。

 開発した水産大学校の村瀬昇教授(水産植物学)は「カイガラアマノリは非常に高値で取引されるが、生産は不安定で摘み取り作業も大変だ。特産品を維持するため、漁業関係者にも陸上養殖に関心を持ってもらいたい」と話している。 (竹次稔)

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