没入体験の新パーク、24年お台場に USJ再建の森岡毅氏
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)の再建で知られる森岡毅氏が率いるマーケティング会社の刀(同市)は5日、東京・お台場に新たなテーマパーク「イマーシブ・フォート東京」を2024年春に開業すると発表した。物語や事件に没入体験できる「イマーシブシアター」を目玉コンテンツに世界から集客し、年間に100万人の来園をめざす。
22年3月に営業を終了した商業施設「ヴィーナスフォート」(東京・江東)の2〜3階に整備する。総面積は約3万平方メートルで、23年6月にとしまえん跡地に開業した「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 ―メイキング・オブ・ハリー・ポッター」(東京・練馬)と同規模となる。
来園者が物語に入り込み当事者として関わるイマーシブシアターで体験できるコンテンツを12種類用意し、飲食と物販が6店舗入る。刀はこれだけ複数のイマーシブシアターをそろえるテーマパークは世界で初だとしている。
イマーシブシアターでは、例えば、犯罪現場の目撃者として事件解決を進めるなどサスペンスやホラーなどの体験ができる。来園者が物語の登場人物の一員として参加し、当事者になってのめり込む没入感に浸ることができる。チケットの価格や販売方法などは今後、発表するという。
5日、都内で開いた記者会見で森岡氏は「これまでのテーマパークの常識を超える体験を提供する」と強調。「世界での展開を見据えてまずは東京で成功させたい」と話した。
刀はネスタリゾート神戸(兵庫県三木市)のマーケティング支援や西武園ゆうえんち(埼玉県所沢市)のリニューアル、ハウステンボス(長崎県佐世保市)の運営支援に携わっている。沖縄県でテーマパークの新規開業をめざす計画も打ち出している。
新型コロナウイルスの感染拡大でテーマパークは大きく打撃を受けたが、市場規模は回復に向かう。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、遊園地・テーマパークの売上高は22年に前年比約2倍の6000億円でコロナ禍前の19年比で8割まで戻った。
テーマパークはグローバルで競争が激しい。リピーターの獲得には定期的な大規模投資が欠かせないが、それができるのは国内では東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランドやUSJを運営するユー・エス・ジェイなどに限られる。
既存施設を活用し、体験重視のアトラクションを作るなど魅力向上への工夫はテーマパークのトレンドになりそうだ。今夏は暑さのためにTDRでパレードが中止になる日があった。「天候の影響を抑えられる屋内型はテーマパークにとってリスクを低減でき、大きな利点」(桜美林大学の山口有次教授)との指摘がある。
国内外のテーマパークのニュースをまとめました。値上げを発表した東京ディズニーリゾートのニュースや新たにオープンした「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 ―メイキング・オブ・ハリー・ポッター」などの最新情報、テーマパークの最新トレンドをお伝えします。
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