「アレフ」活動報告せず 公安庁、再発防止処分を請求
オウム真理教の後継団体「アレフ」が団体規制法に基づき3か月ごとに義務づけられた活動実態の報告をしなかったとして、公安調査庁は25日、団体の活動を厳しく制限する「再発防止処分」を公安審査委員会に請求した。処分の請求は初めて。
同庁は6カ月間、アレフの全国18施設について居住以外の目的での土地・建物の使用禁止や、勧誘行為、財産上の利益の贈与を受けることなどの禁止を求めている。
公安審がアレフ側への意見聴取などの手続きを経て、処分を決定する。処分が認められれば、団体の活動は大きく制限される。
和田雅樹長官は25日に記者会見し「(報告が無い状況により)無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難になっている。速やかに危険性の程度を把握すべく処分請求を行った」と説明した。
団体規制法では観察処分の対象となった団体に対し、3カ月ごとに構成員や資産の状況、収益事業の状況などの報告を義務付けている。同庁によると、アレフは2021年5月と8月が期限だった報告をしなかったという。
同庁によると、アレフは「公安調査庁に報告した銀行口座などの情報を『オウム真理教犯罪被害者支援機構』に開示するという違法行為があったから」など報告書を提出しない理由を説明したという。
公安審は21年1月、アレフに対して7回目の観察処分期間の更新を決定。公安庁は24年1月末まで、引き続き立ち入り検査を実施できることになっており、21年は21施設に延べ30回、立ち入り検査をした。
同庁の調査などによると、アレフの構成員は21年1月末時点で約1310人で、約5億4700万円の資産があるという。新型コロナウイルス感染拡大以降も、オンライン中継などを利用し、元教団代表の松本智津夫元死刑囚(麻原彰晃、執行時63)への絶対的帰依を伝える活動を継続しているほか、SNSを利用した勧誘活動などで20年に約60人の新規構成員を獲得したとしている。