阿蘇山噴火、5年ぶりに火砕流 降灰周辺に
熊本県・阿蘇山で20日に発生した噴火では、2016年10月以来となる火砕流が発生したほか、降灰が周囲で確認された。紅葉が見ごろの行楽シーズンを迎えるなか、観光や農業への影響を懸念する声が上がった。
気象庁によると、降灰は熊本県阿蘇市、高森、山都両町、宮崎県五ケ瀬、高千穂両町で確認された。午後にかけてもごく小規模な噴火が起きた。
火口から西約3キロの阿蘇火山博物館では数十人が建物内に避難したが、警察官の誘導で安全な場所に移動した。
火口の北東約4キロにある国立阿蘇青少年交流の家の古庄宏光事業支援室長(55)は「ドンドンという大きな音に驚き窓の外を見ると、中岳付近が真っ暗になるほどの黒い噴煙が立ち上っていた。普段見ないほどの大きさに恐怖を感じた」と話した。
火口から約8キロの喫茶店では、真っ黒な噴煙が山から降ってくる様子がはっきりと見えた。女性従業員は「キャベツ畑やペンションがある場所なので農業や観光への影響が心配だ」と話した。
コロナ禍で遠のいていた観光客が戻りつつあった中での噴火に、阿蘇市観光協会の担当者は「修学旅行生が来ている時期で、風評被害が心配だ」と懸念した。
阿蘇山周辺には野菜畑や牛の放牧地が広がる。JA阿蘇高森支所(同県高森町)によると、火山灰が1ミリ程度積もったが、今のところ大きな農作物被害は確認されていない。職員は「今後雨が降ると、灰がキャベツや白菜に付着して品質が落ちる恐れがある」と心配した。〔共同〕