JDI、借入金1千億円圧縮へ 株式転換や債権放棄で
ジャパンディスプレイ(JDI)は10日、筆頭株主のいちごトラストの支援をうけ、借入金1016億円を圧縮すると発表した。いちごが債務を株式に切り替えるデット・エクイティ・スワップ(DES)や債権放棄に応じる。加えて、いちごを引受先とする新株予約権を発行し、最大1735億円を調達する。財務体質を強化するのと同時に成長投資の原資を確保する。
JDIの官民ファンドINCJ(旧産業革新機構)からの借入金については、いちごが大半を譲り受けるなどしてゼロにする。いちごはJDI向けの債権150億円を放棄したうえで、同社の債務866億円を普通株に切り替える。JDIは無借金となる。JDIはINCJが保有する優先株を無償で取得し、消却する。
さらに新株予約権の発行で最大1735億円を調達する。新株予約権の行使期間は2023年6月1日から28年11月30日。調達資金は次世代技術の研究開発や新規事業への投資に充てる。
債務の株式化が完了し、いちごの新株予約権がすべて行使されると、いちごの議決権所有割合が91.57%となる見通しで、東京証券取引所の上場維持基準に抵触する可能性がある。JDIのスコット・キャロン会長兼最高経営責任者(CEO)は10日の記者会見で「どこかのタイミングでいちごの保有株を減らす方法を考えている」と説明した。
JDIは同日、23年3月期の連結最終損益が319億円の赤字(前期は80億円の赤字)となりそうだと発表した。従来予想から赤字額が39億円縮小する。債務免除益を計上する。売上高は前期比10%減の2660億円と、従来予想を140億円引き下げた。スマートフォン向けなどの需要が鈍く、在庫調整が長引いている。
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