双竜自動車買収計画が白紙に 新興EV、資金確保できず
【ソウル=細川幸太郎】経営再建中の韓国双竜自動車は28日、同国の新興電気自動車(EV)メーカーのエジソン・モーターズから期限内に買収代金の支払いがなかったと発表した。エジソン側が買収資金を確保できなかったためで、双竜自の再建計画は白紙に戻ることになった。
双竜自は同日、「エジソン側は25日期限の買収代金を支払っておらず、契約に基づいて(買収計画が)自動解除された」と発表した。関係者によると、買収資金を拠出予定だった国内ファンドが撤退したことで支払期限までに2743億ウォン(約274億円)を用意できなかったという。
双竜自の債権団は2021年10月にエジソン社を引受先として優先交渉者に選定し、22年1月に買収の本契約を結んだ。ただ当初からスタートアップであるエジソン社の資金力に懸念があった。双竜自の労組が買収計画に反発し、国内ファンドが共同買収に及び腰になったことで不透明感が強まっていた。
15年設立のエジソン社は従業員180人体制で商用EVを生産しており、20年の売上高は90億円程度だった。双竜自は従業員4550人を抱え、21年売上高は2400億円規模。新興EVが完成車メーカーの生産能力獲得を目指した「小が大をのむ」買収は頓挫した。
双竜自はアジア通貨危機後に中国上海汽車集団に買収され、その後にインドの自動車大手マヒンドラ・アンド・マヒンドラ傘下となるなどスポンサーは二転三転してきた。21年の売却先を募る入札も低調だったため、エジソンに代わる買収者が現れるかは見通しにくい。債権団を主導する政府系の韓国産業銀行は経営再建策の抜本的な見直しを迫られることになった。