ベトナムのフック国家主席辞任 コロナ巡る汚職で更迭か
【ハノイ=大西智也】ベトナムのグエン・スアン・フック国家主席は17日、一党支配の共産党の会議で辞任の意向を示し、承認された。ベトナム共産党最高指導部の政治局員も退き、引退する見通し。新型コロナウイルスの流行時に起きた汚職事件の責任を問われ、党から更迭されたとみられる。
同国共産党は17日、臨時の中央委員会総会を開きフック氏の国家主席や政治局員、党の議決機関である中央委員会の委員などの辞任を了承した。
最高指導者のグエン・フー・チョン党書記長は、汚職撲滅を進めつつ権力基盤を強化している。5日の臨時国会では外交全般を統括するファム・ビン・ミン筆頭副首相と保健部門を担うブー・ドク・ダム副首相が解任された。党が政府を指導する動きが一段と強まり、経済面でも管理や統制が厳しくなる可能性がある。
フック氏はチョン氏に次ぐ序列2位。副首相や首相を務めた後、21年に国家主席に就いた。18日に開く臨時国会で後任人事を協議する。チョン氏の兼任や、トー・ラム公安相の昇格などが取り沙汰されている。
同国では、コロナ禍における海外在住のベトナム国民の帰国便の手配や新型コロナ検査キットの調達を巡る政府入札に関わる汚職事件で、関係者の摘発が続いている。今後も党幹部や政府高官が責任を追及される可能性があるとみられている。
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