スリランカ前大統領が帰国 経済危機で7月に辞任
【ムンバイ=花田亮輔】スリランカのラジャパクサ前大統領が2日夜、同国に帰国した。現地メディアが報じた。ラジャパクサ氏は経済危機に伴う抗議活動の激化を受けて、7月にスリランカを出国し、大統領を辞任していた。同氏は米国永住権の取得を図っているという。
ラジャパクサ氏は国防次官などを経て、2019年の選挙で大統領に当選した。5月まで兄のマヒンダ元大統領が首相を務めるなど、一族で政権の要職を占める状態が続いていた。
同国では外貨不足や国際商品市況の悪化により、輸入品を中心とした生活必需品の値上がりや不足が深刻になっている。経済の混乱や政治の私物化に対する不満から抗議活動が広がり、7月には大統領公邸などが一時占拠された。ラジャパクサ氏は同月にモルディブ経由でシンガポールに脱出し、大統領を辞任した。直近はタイに滞在していた。
同氏の辞任を受けて、首相などを務めていたウィクラマシンハ氏が議会投票により大統領に就任している。国際通貨基金(IMF)は1日にスリランカの経済立て直しに向けて、29億ドル(約4000億円)の金融支援で実務者による暫定合意に達したと発表した。