住友電工、住友3Mの全株式売却 米3Mとの半世紀の提携解消
住友電気工業は16日、住友スリーエム(3M、東京・品川)の保有株式25%すべてを同社に売却すると発表した。売却額は900億円で2015年3月期通期に連結特別利益として約440億円を計上する。住友3Mの親会社の米3Mとは半世紀にわたる提携関係にあったが、最近は相乗効果が乏しくなっていた。住友電工は株式売却益を、大型蓄電池など成長分野への投資に振り向ける。
住友3Mは米3Mが50%、住友電工とNECが25%ずつ出資し1961年に設立。付箋「ポスト・イット」などの文具が有名だが、テープやフィルムの技術を活用し自動車や電子機器向けの材料を幅広く手掛ける。同社を中核とする3Mの日本事業の売上高は約2500億円。
株式は9月1日付で取得し消却、NECの持ち分は03年に買い取り済みで、米3Mの完全子会社となる。社名も「スリーエムジャパン」に変更し日本事業を続ける。
住友電工はワイヤハーネスなど自動車関連が主力で、海外で設備増強に動いている。並行して将来の収益の柱にするため次世代の大型蓄電池「レドックスフロー電池」や大容量の電気を送れる海底ケーブルなど環境・エネルギー関連事業に注力。15年3月期に設備投資と研究開発費でそれぞれ1600億円、約980億円を見込む。
これらは住友3Mの事業との関連性が薄く、最近は純投資に近い状況になっていた。成長部門の資金需要に応えるため3M側からの株式取得の申し出を受け入れた。
住友電工は16日、住友3Mの株式売却に伴い15年3月期の連結純利益が前期比66%増の1110億円になるとの見通しも発表した。従来予想は5%増の700億円だった。売上高と営業利益は従来予想を変えていない。株式売却で持ち分法の投資利益が減るため、経常利益は前期比2%減の1420億円と従来予想を30億円引き下げた。