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独特な福岡の手締め「博多手一本」 起源を探った

商都の対抗心? 博多流アレンジ

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 「祝(いお)うて三度」シャシャン、シャン――。福岡には独特の手締め「博多手一本」が存在する。お祭りや宴会などでは、あちらこちらから独特のリズムと掛け声が聞こえてくる。転勤族も歓迎会で最初に覚えるこの流儀。なぜ独自の形なのかを探ってみた。

10月の福岡市内の居酒屋。職場での歓送迎会なのか、サラリーマンら団体客でにぎわう。そろそろお開きというタイミングで、あちこちのグループから聞こえてくるのが博多手一本だ。独自のリズムと掛け声で、みんなでかしわ手を打つ。

「よーお、シャンシャン、ま(も)ひとつ、シャンシャン、祝うて三度、シャシャン、シャン」という具合だ。

宴会の席だけでなく、結婚式やお祭りでも欠かせない。各地の取引所は大発会や大納会で一本締めを行うが、福岡証券取引所ではこの方式で、東京や札幌、名古屋の証取とは形式が異なる。ちなみに、独自の形をとるのは福岡と大阪で、この2つはよく似ている。

大証の「大阪締め」は、ゆっくりしたリズムで「う~ちましょ、シャンシャン、もひとつせ、シャンシャン、祝うて3度、シャンシャン、シャン」だ。

博多手一本のルーツについて、福岡の歴史や文化に詳しい博多町家ふるさと館(福岡市)学芸員の山田広明さんに聞くと「大阪の文化を取り入れて独自に発展した」という。この2つの中身が似ているのは、このためだ。

本家である大阪の一本締めの源流は、日本書紀にも登場する生国魂神社(大阪市)にあった。同神社に伝わる一本締めは「正調の大坂手打ち」と呼ばれる。5つの掛け声があり、3つ目の掛け声と拍手のリズムも特長だ。

「う~ちましょ、シャンシャン、もひとつせ、シャンシャン、祝おうて三度、シャンシャンシャン、めでたいなァ、シャンシャン、ほんぎ(本決)まりィ、シャンシャン」だ。

生国魂神社は、もともと現在の大阪城の場所に建っていた。豊臣秀吉がその地に城をたてるため、1585年に同神社を3キロ南の現在地に移した。その縁があって豊臣家から神社に太鼓が奉納される。大阪城では「やぐら太鼓」として、門番が客や敵の来訪を知らせるために使っていたものだ。

生国魂神社では、太鼓はお祭りの時間を知らせ、祭りの行列が通過する合図に使われた。「いずれかの音頭が変化して手締めが誕生した」(生国魂神社の中村文隆さん)という。

生国魂神社から広まった打ち方は、近くの市場や大阪天満宮の天神祭にも取り入れられた。天神祭は川のお祭りで、船同士がすれ違うときのエール交換で一本締めをする。ただ5つの掛け声だと時間がかかる。中村さんは「船がすれ違うのに時間がなくて、短縮されたのではないか」と推測する。

大阪天満宮に問い合わせたところ「文献がなくて正確なことはわからない」としているが、日本三大祭として有名な天神祭の影響力が手伝って、3つの掛け声の形で世に広まったとみる向きが多いようだ。

博多では、手締めの表現方法にも特徴があり、「手ば入れます」という。「手一本で締めます」というと、「入れるとか、いただきますって、言うっちゃん」と地元の人から「突っ込み」が入ることもある。

福岡県の郷土史研究家の岡部定一郎さんによると、第2次世界大戦後までは「締める」という言葉がはやった時期もあった。ただ、「締める」という表現は玄関を「閉める」みたいで、演技が悪いと嫌われた。「商工会議所や博多町人文化連盟が主導して、お客さんをいつでも招き入れますよということで『入れる』に統一する動きが広がった」(岡部さん)

博多祇園山笠では、期間中、一日に何度も「手を入れる」。集会場で一回、山小屋で走り出す前に一回、戻ってきて一回、打ち上げの飲み会「直来(なおらい)」で一回、といった具合だ。

山笠の手一本はものすごい早口で、声が響く。最後の「祝うて3度」は「よてさん」としか聞こえない場合が多い。早口で気持ちをたかぶらせて「気合を入れるという意味も込めている」(同)という。

博多手一本の流儀には、商人の街としてのこだわりと、天下の台所として名をはせたもう一つの商都・大阪とは違うものにしたいとの思いがこもっているのかもしれない。

札幌証券取引所に取材をした際、関係者は「独自のものがあるのはうらやましい。活性化のために北海道でも何か探してみたい」と話していた。名古屋では、方言である「なも」を使ったオリジナルの手締め「名古屋ナモ締め」を広めようとする動きもあるようだ。

独自の方式で博多に根付いた手一本を誇りにし、大切に伝えていきたい。

(西部支社 平本信敬)

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