JDI会長「2年以内黒字化」に意欲 株主総会、いちご追加支援を可決
ジャパンディスプレイ(JDI)は26日、株主総会を開き、独立系投資顧問会社のいちごアセットマネジメントからの追加出資受け入れなどを決議した。JDIは6期連続で最終赤字が続くが、スコット・キャロン会長は「2年以内に進捗を示す」として黒字化への意志を示した。経営再建に加え企業統治(コーポレートガバナンス)の強化と、息の長い改革が求められている。
いちごアセットからの最大604億円の支援受け入れに加え、社外取締役の権限が強い指名委員会等設置会社に移行するための定款変更などを決議した。JDIは既にいちごから504億円調達しており、今回の決議を受けていちごからの出資額は最大1108億円になる。議決権比率は最大で80%を超える見通し。
「株主も生涯貯蓄を託してくれているので命懸けだ」。いちごアセットからJDIに招かれたキャロン会長は議長として初めて登壇し、黒字化に向けた決意を表明した。
JDIは2020年3月期まで6期連続で最終赤字が続き、決算発表を延期している20年4~6月期についても「新型コロナの影響があり営業損益段階から赤字」(キャロン会長)とした。スマートフォン向けが主力だが、主要顧客である米アップルの需要動向に大きく左右されてきたため、中長期的にヘルスケアなど新規分野に参入。スマホ以外の製品比率を5割に高める方針を示した。
総会では株主からガバナンスの脆弱性を指摘する声が相次いだ。JDIは東京証券取引所に提出した改善報告書の中で、不適切会計の原因を当時の大株主である官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)が派遣した取締役が実質的に過半数を占め、ガバナンスが機能しなかったためなどと分析した。
JDIは指名委員会等設置会社に移行し、社外取締役を2人から5人に増員するが、うち2人はINCJ出身だ。独立性を維持できるか株主の監視の目も厳しい。
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