核施設火災は「破壊工作」 イラン、報復の可能性も 爆発発生と報道官
【テヘラン=共同】イラン原子力庁の報道官は23日、同国の核開発の中枢を担う中部ナタンズの核関連施設で7月に起きた火災について、治安当局の捜査の結果、「破壊工作」と確認したと明らかにした。国営メディアが報じた。手口や実行者には言及しなかったが、治安当局が「適切な時期に詳細を発表する」とした。
報道官は、火災で爆発が起きたとも指摘。関係筋によると、イラン当局は火災発生後の早い段階から破壊工作とほぼ断定し、敵対するイスラエルや後ろ盾の米国が関与した疑いがあるとみて捜査。破壊工作と初公表したことでイランが今後、報復に出る可能性がある。
一方、イラン体制内部には実行者を公表し報復に踏み切った場合、イスラエルや米国にイラン攻撃の口実を与える恐れがあるとの見方がある。米国の経済制裁や新型コロナウイルス感染拡大で国力に陰りも見え、イランは対応を慎重に検討しているもようだ。
国際原子力機関(IAEA)のトップ、グロッシ事務局長が24日からイランを訪問する予定で、イラン側は火災の状況を説明する考えとみられる。過去の核兵器開発疑惑を巡ってIAEAが求めた査察をイランが拒んでいる問題に関し、報道官は23日「査察に反対はしていないが、証拠に基づくべきだ」と述べた。
イランでは6月下旬以降、ナタンズの施設に加えて各地の軍事施設や発電所、石油関連工場などで爆発や火災が相次いで発生した。ナタンズ以外の一部も破壊工作だった可能性が指摘されている。イスラエルは関与を肯定も否定もしていない。