世界遺産「勝負の年」に影 縄文遺跡群、コロナ拡大で
2021年の世界文化遺産登録を目指す「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田)に、新型コロナウイルスの感染拡大が影を落としている。閉鎖中の遺跡もあり、世界遺産委員会での審査が予定通り行われるかも見通せない。「勝負の年」と意気込んでいた関係者は、関心が冷めてしまわないか気をもんでいる。
「地元の遺跡を盛り上げるため、ガイドの新設など準備を進めてきた。せっかくのタイミングに、水を差された気分だ」。「『青森県の縄文遺跡群』世界遺産をめざす会」の一町田工事務局長(81)は残念そうに話す。
遺跡群を構成する全17遺跡の中には一時閉鎖となった遺跡もあり、うち青森市の三内丸山遺跡などは今も閉まったまま。展示施設も休館した。
青森県から委託を受け、遺跡でボランティアガイドなどを行う「三内丸山応援隊」によると、3~5月の団体客は全てキャンセル。6月分も中止や延期を希望する連絡が相次いだという。
国内外の客に広く魅力をPRしようと外国人のボランティアガイドを起用したり、県が解説用タブレットを導入したりして手応えを感じてきただけに、落胆は大きい。
改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の解除を受け再開の動きはあるが、同隊の鎌田孝範事務局長(66)は「もともと県外客が多い。以前のような来客を見込むのは難しい」と話す。
肝心の登録時期も不透明になってきた。来年夏の世界遺産委員会で審査予定だったが、そもそも今年の委員会開催が延期となり、今後のスケジュールは見通せない。県は「延期連絡などは来ておらず、粛々と準備を進めるしかない」と話す。
県世界文化遺産登録推進室の岡田康博室長(62)は「情報発信の機会が減り、訪問客が遺跡と触れ合えない事態が続けば、マイナスの影響は避けられない」と心配そうに話した。
〔共同〕
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
-
【よく読まれている記事】
- 新型コロナウイルスは体内にいつまで残るのか
- 「コロナに決してかからない人」はいるのか?