首相が7年連続賃上げ要請、数値目標は触れず 経団連会合
安倍晋三首相は26日、都内で開いた経団連の審議員会に出席し、2020年春季労使交渉(春闘)を控え、賃上げについて「重要なのは人材への投資だ。来年の春も大いに期待している」と述べた。首相による経済界への賃上げ要請は7年連続となる。20年夏の東京五輪後の景気の腰折れを防ぐため、経済界に協力を求めた。具体的な数値目標には触れなかった。
首相は「参考までに言うと、半世紀前の東京五輪の年の賃上げは12%だ」と述べ、高い賃上げ率に期待を示した。20年夏の東京五輪後に景気が弱まりかねないとの指摘はある。賃上げを通じて所得を引き上げ、消費の底上げにつなげたい考えだ。
首相は第2次安倍政権発足後、14年労使交渉から経済界に賃上げの協力を求めてきた。経団連によると19年は定期昇給とベアを合わせた賃上げ率が2.43%で6年連続で2%を超えた。
首相は18年労使交渉では「3%」と具体的な数値目標に触れた。今回は19年労使交渉に続き、数値目標への言及を避けた。賃上げは経営者が自主的に決めていくものと考える経団連の中西宏明会長に配慮したとみられる。