東京五輪・パラからロシア排除 ドーピング不正で
【ローザンヌ(スイス)=細川倫太郎】世界反ドーピング機関(WADA)は9日、常任理事会を開き、ロシア選手団を2020年東京五輪・パラリンピックなど主要国際大会から4年間排除する処分を決めた。ロシアが19年1月に提出した過去の検査データで改ざんが発覚していた。
不正に関与していないと証明できた選手は個人資格で参加を認められるが、スポーツ大国の不参加は大会に大きな影響を与えるとみられる。
処分案は全会一致で承認され、WADAのクレイグ・リーディー会長は「ロシアのドーピングに対して断固として行動する決意を示している」との声明を出した。
ロシアは処分についてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議申し立てができる。インタファクス通信によると、同国のメドベージェフ首相は9日、「ロシアの機関は異議申し立てを検討すべきだ」と述べた。
今回の処分により、ロシア選手団は東京五輪・パラリンピックのほか、22年北京冬季五輪・パラリンピックや世界選手権などに参加できず、国旗の使用も禁止される。22年にロシアで開催予定のレスリングやバレーボール男子の世界選手権は開催地が変更となる。
WADAは16年、ロシアが国ぐるみでドーピングや隠蔽を行っていたとする報告書をまとめ、14年のソチ冬季五輪などでの不正を認定した。18年9月にロシア反ドーピング機関(RUSADA)の資格停止処分を解除したが、その条件としてモスクワ検査所の保管データの提供を受けたところ、リオデジャネイロ五輪の前年にあたる15年のデータに数百カ所の改ざんや削除が見つかった。
国際オリンピック委員会(IOC)は16年のリオ五輪でロシア選手団の参加を認めたが、対応の甘さを批判され、18年の平昌冬季五輪では選手団としての参加を認めなかった。18年4月からはWADAの権限が強化され、IOCはWADAの決定に従わなければならなくなった。
16年リオ五輪でのロシアのメダル獲得数は56個。12年ロンドン五輪では82個(当時)を獲得し、米国、中国に次ぐ3位だった。
一、ロシアの選手や支援要員は不正に関与していないと証明できた場合のみ主要大会に参加できる。その場合も国を代表することはできない
一、主要大会でのロシア国旗の使用を禁じる
一、いかなる主要大会も開催と招致を禁じる
一、既に招致した主要大会の開催を禁じ、代替開催国に移す。2032年夏季五輪・パラリンピックの招致を禁じる
一、ロシア政府関係者、代表者の夏冬の五輪・パラリンピックやユース五輪、世界選手権など主要大会参加を禁じる
一、ロシアのオリンピック委員会とパラリンピック委員会の会長や理事の主要大会参加を禁じる
一、WADA統一コード(規定)に調印した組織の理事をロシア政府関係者、代表者が務めることを禁じる
一、ロシア反ドーピング機関はこの問題でWADAが要した経費と罰金を支払う