「バグダディ容疑者の妻を拘束」トルコ大統領が発表
【イスタンブール=木寺もも子】トルコのエルドアン大統領は6日、過激派組織「イスラム国」(IS)の指導者、アブバクル・バグダディ容疑者(死亡)の妻を拘束したと発表した。同容疑者の姉とその夫もシリアで拘束したとしている。ISトップの親族を聴取すれば内部情報が得られる可能性があり、テロとの戦いへの貢献をアピールする考えだ。
バグダディ容疑者自身は、米軍が10月26日にシリア北西部イドリブ県のトルコ国境近くで行った軍事作戦で自爆に追い込み、息子らとともに死亡させた。IS側も同月31日、死亡を認め後継者名を発表した。
バグダディ容疑者には複数の妻がおり、米国によるとこの軍事作戦の際に2人の妻も死亡したという。エルドアン氏は今回拘束したという妻の名前などの詳細を明かさなかったが、別の妻とみられる。
トルコは既に親族らへの尋問を始めているもようで、IS掃討作戦への貢献を示す狙いがあるとみられる。ISが台頭した当初、撲滅に消極的な態度を示していたことで米国などの批判を招いた経緯がある。エルドアン氏の広報官は5日、ツイッターで「IS(掃討)への我々の決意を疑うような、反トルコの暗いプロパガンダが出回っている」と述べていた。
6日、首都アンカラの大学で講演したエルドアン氏は、バグダディ容疑者を死亡させた米軍事作戦について「米国は宣伝キャンペーンを行っている」と皮肉を言ったうえで「我々は妻を拘束したが米国のような大騒ぎはしていなかった。今初めて発表する」と述べ、拘束の事実を明らかにした。時期は言及しなかった。