中国、4中全会の決定全文公表 AIで監視社会を強化
【北京=多部田俊輔】中国共産党は5日、10月下旬に開催した重要会議の第19期中央委員会第4回全体会議(4中全会)で採択した決定の全文を公表した。党中央への権限集中を強化する方針のもと、ビッグデータや人工知能(AI)を使って管理する制度や規則を構築する。インターネットの世論管理を強化することなども盛り込み、監視社会を強化する。
政治、経済、軍事、外交などで全面的に「党中央の権威と集中的な統一指導」を強化する方針も示した。習氏の思想を学ぶ「初心を忘れず、使命を心に刻め」と銘打った党内教育運動を制度化して推進することなども明記した。
科学技術に関して、難関を突破する挙国体制を構築することを明記した。習指導部の看板政策だったハイテク産業育成の「中国製造2025」に代わり、国内の研究機関や企業の技術や資金を集めて、米国など海外に依存している半導体などの研究開発を進める狙いがありそうだ。
国内経済に関しては、国有企業を揺るぎなく発展させて、国有企業などの国有資本をより強くする方針を示した。外国企業とのグローバル競争に備え、国有企業の統合再編を加速するとみられる。外国企業の対中投資について安全保障上の審査制度などを改善する内容も盛り込んだ。
香港問題を巡っては、高度な自治を認める「一国二制度」は「一国」が「二制度」の前提となると改めて指摘。香港人による香港の統治を示す「港人治港」も明記したが、その直前に「愛国者を主体とする」という条件を追加した。外部勢力の香港への介入や破壊活動を断固として防ぐことも盛り込み、香港への管理を強める方針を示した。
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