五輪マラソン決着 札幌の準備、本格始動へ
2020年東京五輪のマラソン・競歩を札幌で開催するとした国際オリンピック委員会(IOC)の計画を東京都が受け入れ、会場変更が正式に決まった。五輪開幕まで9カ月を切っており、残された時間は少ない。日程やコースの決定、警備計画の策定や選手の宿泊先確保などの準備が本格的に始まる。
小池百合子都知事は1日に開かれたIOC調整委員会、大会組織委員会、政府との協議で「同意できないが、IOCの決定を妨げることはしない」と述べ、会場変更を受け入れた。
コースは北海道マラソンをベースに
札幌に移転するのは男女マラソンと男女20キロ競歩、男子50キロ競歩の計5種目。長時間にわたる交通規制や警備を行うことになり、早急に日程とコースを確定する必要がある。会場変更の影響を最小限とするため、男女の競技を同日開催とする案も浮上している。
札幌市はマラソンコースについて、例年8月に開かれている「北海道マラソン」をベースに市内の大通公園をスタート・ゴールとしたい考えで、国際陸上競技連盟や組織委と検討を進める。
組織委によると、マラソンと競歩の出場予定選手は計340人。コーチや国際陸連のスタッフらを加えると1千人規模となる見通しだ。五輪の選手は原則として選手村に滞在することになっており、組織委はホテルなどを借り上げて「分村」をつくる。
ボランティアや警備員課題
札幌市の18年度の統計によると、市内宿泊施設の客室は約2万9千室。大会期間は夏休みの観光シーズンにあたるため、既に市は市内のホテルに対し、競技開催が見込まれる時期の一般予約の受け付けを見合わせるように促している。あるホテルの支配人は「国体などの大型イベントでは4年くらい前から業界全体で調整している。今回はかなり異例だ」と話す。
ボランティアや警備員の確保も課題となる。北海道マラソンのボランティアは約4千人だが、競歩も含めて「五輪では2倍以上が必要」と大会関係者はみている。警備員については2千~3千人必要との試算がある。
会場変更に伴って新たに発生する費用は数十億円に上るとみられている。1日の4者協議で都は負担しないことが確認されたものの、IOCや組織委、北海道や札幌市など、どこがどれだけ負担するかは現時点で決まっていない。