千里浜なぎさドライブウェイ(石川県能登半島) 車でバイクで砂浜快走
映える!
日本で唯一、砂浜を車で走れる「千里浜なぎさドライブウェイ」が石川県の能登半島にある。宝達志水町から羽咋市にかけての全長8キロ。車で風を切りながら、すぐそこに流れるのは日本海の波の音だ。砂浜を活用したイベントもあり、1日で4000人が集まることも。浸食が進む砂浜の再生にも取り組んでいる。
記者が砂浜を訪れたのは7月初旬の夕刻。浜を照らす西日の中、家族連れや仕事仲間と思われる人々が、海で遊んだり写真を撮ったりしている。ときおり、その後ろを車が通過する光景はどこか不思議な感じだ。
手取川などからはき出された砂が遠浅を形成。粒子が小さく、水が混じると固まるので車やバイクでスムーズに走行できる。毎年7~8月に、標識を設置し車が走行する部分をロープで仕切るため、海水浴客もドライブ客も安心して楽しめる。風が強く波が高いときには通行止めとなるが、通常は24時間無料で自由に行き来できる。
ドライブウェイの歴史は1955年前後にまでさかのぼる。「広々とした波打ち際を思い切り走りたい」と、最初に砂浜を走ったのは、ある一人の観光バスの運転手だ。初めは運転手仲間だけの「秘密のコース」だったが、快適さが人気を呼んで観光名所になった。
砂浜では様々なイベントも開かれている。9月には2000本以上のライトやキャンドルを設置して夜の砂浜を楽しむイベント「千の輝き」を開く。昨年は1000人が来訪した。地元の音楽団によるミニコンサートなどを楽しんだ。
5月には全国47都道府県のバイク乗りが日の出時刻に各地の海岸を出発し、夕暮れを千里浜海岸で過ごす「サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー」を開催。126人で始まったイベントは今年で7回目を迎え、4000人が集結した。
ただ、かつて70~80メートルあったという砂浜は波浪などによる侵食が進み存続が危ぶまれる。南側の出入り口付近は2018年に平均46メートルに縮小。波を防ぐ人工リーフを沈めるなどして07年に比べると9メートルほど回復した。イベント時には、参加者が風や波で陸側に集積した砂を集めて海側に運ぶ「一人一砂」運動を欠かさない。
(毛芝雄己)